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令和4年度 廿日市市施政方針
令和4年度 廿日市市施政方針(令和4年2月22日)
はじめに
令和4年第1回廿日市市議会の開会に当たり、新年度の施政方針を申し述べ、市議会議員各位並びに市民の皆様の御理解と御賛同を賜りたいと存じます。
新型コロナウイルス感染症は、第5波となる昨年8月をピークに落ち着きを見せていましたが、昨年末からの新たな変異株の出現により、今年に入り、これまでにないスピードで感染拡大が続いています。1月には、まん延防止等重点措置が適用され、本市においても、感染者が過去最多となる日を記録するなど、いまだ予断を許さない状況です。昨年末に、市役所駐車場内に設置した廿日市PCRセンターでの無料検査を始め、3回目のワクチン接種を迅速かつ着実に進め、感染拡大の防止と市民が安心して生活できる環境を整えてまいります。
昨年の出来事を振り返りますと、本市では、4月に、アジア11の国と地域から290人の選手が参加した「アジアトライアスロン選手権」を開催し、コロナ禍の中で感染者を出すことなく無事大会を終えることができました。橋本聖子東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長から、本大会に向けて、「東京大会開催への大きな力となる。」「大きな励みとなる。」この二つのメッセージが発せられたことは、大変大きな意義を持った大会を開催できたことを誇りに思うと同時に、今大会を開催、成功させたことへの賞賛として受け止めています。これは、ひとえに多くの関係者の皆様の御尽力があってのことであり、御協力に感謝申し上げます。
夏には、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました。無観客での開催となりましたが、選手たちのひたむきな姿と活躍は、コロナ禍で疲弊した人々の心に勇気と感動を与えてくれました。
中でも、本市出身の河田悠希選手が、アーチェリー男子団体で、銅メダルを獲得されたことは、郷土の誇りであり、大変嬉しい出来事でした。
総務省が公表した2020年の人口移動報告において、本市は6年連続で転入超過となりました。子育て世代の転入が多いものと分析しており、今後も、子育てしやすいまちとして選ばれ、住んでよかったと実感できるまちづくりに邁進してまいります。
国政に目を向けますと、30年ぶりに広島県選出の内閣総理大臣が誕生しました。岸田首相は所信表明演説の中で、被爆地広島出身の総理大臣として「核兵器のない世界」を目指し、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、唯一の戦争被爆国としての責務を果たすと述べられました。
本市は、平成29年7月に核兵器禁止条約が国連で採択される前から、日本政府に対し、国連核兵器禁止条約交渉会議に参加することや、核兵器廃絶の立場に立つことなどの要望を重ねています。今後、首相の強いリーダーシップに期待するとともに、日本非核宣言自治体協議会および平和首長会議において、他自治体と連携した活動を続けていくなど、戦争のない平和な未来を目指し、核兵器廃絶を訴えてまいります。
また、在日米軍再編による空母艦載機の岩国基地への移駐後は、沿岸部から山間部にかけて、米軍機による騒音が顕著となっています。市民の生活環境の確保や来訪者へのおもてなしの観点から、騒音問題の解決に向け、引き続き、関係自治体と連携を図りながら、国へ働きかけてまいります。
今年は、大正11年に、地方自治の振興並びに教育、産業の発達を図ることを目的に設立された「一般財団法人佐伯郡地方振興財団」が、設立100周年という意義深い年を迎えます。
当財団は、これまで所有する山林の収益を基盤として、旧佐伯郡・大竹市の公共施設整備等を支援することで、地域振興に大きく貢献してきました。
ここに改めて、財団の設立と運営に尽力された方々に対し、敬意と感謝の意を表するとともに、「木のまち廿日市」としても財団の活動を支えてきた豊かな森林資源を大切に守り継承していきたいと思います。
1 市政を取り巻く諸情勢
市政を取り巻く諸情勢でございます。
【経済・雇用情勢】
はじめに、経済情勢でございます。
「内閣府の政府経済見通し」では、我が国の経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響の下にありますが、厳しい状況は徐々に緩和されており、持ち直しの動きが見られるとされています。先行きについては、「経済対策」を迅速かつ着実に実施すること等により、GDPは過去最高となることが見込まれ、公的支出による経済下支えの下、消費の回復や堅調な設備投資に牽引される形で、民需主導の自律的な成長と、「成長と分配の好循環」の実現に向けて着実に前進していくとしていますが、引き続き、感染症による内外経済への影響、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要があるとしています。
次に、雇用情勢でございます。
広島労働局の発表によると、令和3年12月の有効求人倍率は、一昨年同月と比較し0.2ポイント増の1.37倍、正社員有効求人倍率は、0.16ポイント増の1.18倍で、県内の雇用情勢は、求人が求職を上回って推移していますが、求人とともに、求職者の増加も見受けられ、今後も新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に、より一層注意していく必要があります。
【財政状況】
国が昨年12月に公表した令和4年度の地方財政計画では、「経済財政運営と改革の基本方針2021」で示された「新経済・財政再生計画」を踏まえ、地方の安定的な財政運営に必要となる地方交付税等の一般財源総額は、令和3年度と同水準となる62兆円を確保したとしています。地方交付税については、平成16年度以降の最高額となる18.1兆円が確保されるとともに、臨時財政対策債については、前年度から3.7兆円減となる大幅な抑制が図られています。しかしながら、新型コロナウイルス感染症や地域社会のデジタル化への対応など、地方自治体を取り巻く財政環境は、依然として厳しい状況にあると考えています。
今後も引き続き、財政の健全性を保持し、持続可能な財政基盤を構築してまいります。
【地方創生】
地方創生についてです。
一昨年実施された令和2年国勢調査において、本市の人口は、平成27年と比較して733人減少し、114,173人と発表されました。
本市の減少率は0.6パーセントであり、全国および広島県平均よりも減少率は低くなっていますが、地域別に見ると、沿岸部は増加、島嶼部・中山間地域は減少という二極化の傾向にあります。
人口減少下にあっても、その影響を受けにくい持続可能な都市であり続けるためのまちづくり戦略が問われています。
第2期廿日市市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、将来の発展を見据えた取組を始め、地域の資源や特性を生かしたまちづくりを展開するとともに、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進と併せ、次世代に夢と希望が持てるまちへの変革に挑戦してまいります。
2 令和4年度の市政運営の基本的考え方
市政運営の基本的考え方でございます。
【新型コロナウイルス感染症への的確な対応】
1点目は、新型コロナウイルス感染症への的確な対応でございます。
変異株の出現により、新型コロナウイルスの感染拡大が繰り返される中、市民の生命と安全・安心な暮らしを守り、支えていくために、引き続き、感染症対策の徹底と経済活動の回復や活性化に向けた取組を行ってまいります。
とりわけ、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を円滑かつ着実に進めるとともに、3月開始予定の5歳から11歳までの小児を対象とした1・2回目接種についても、佐伯地区医師会と連携し取り組んでまいります。
また、引き続き、市と市内の産業経済団体等で構成する「廿日市市新型コロナウイルス感染症対策産業振興実行委員会」を中心に、国・県の支援制度を踏まえつつ、市内事業者に対して必要な支援を行ってまいります。
今後も、感染症が市民生活や企業活動に及ぼす影響を最小限に抑えるため、県内および市内の感染状況を注視し、緊張感を持って、迅速かつ柔軟に対応してまいります。
【第6次廿日市市総合計画後期基本計画に基づく施策・事業の着実な実施】
2点目は、今年度からスタートした第6次廿日市市総合計画後期基本計画に基づく施策・事業の着実な実施でございます。
本市の将来の発展を牽引するプロジェクトである、新機能都市開発事業については、先月28日から、平良丘陵開発土地区画整理準備会において、工業施設用地の立地希望事業者の募集を開始したところです。
また、市内企業が事業地内に移転した後に生ずる土地を新たな種地として、まちの再生に資する土地利用誘導により、付加価値の高い市街地形成につなげてまいります。
宮島口地区については、官民が一体的にまちづくりを進める中、令和4年度には広電宮島口新駅舎や立体駐車場が供用開始となり、人の流れを始め、地区の様相も大きく変わります。引き続き、国や広島県、地区のまちづくり組織と連携し、地域の人たちが、憩い、楽しめ、かつ国際的な観光地の玄関口にふさわしい観光交流拠点の形成を図ってまいります。
また、令和5年2月の完成を目指して整備を進めております筏津地区公共施設再編事業でございますが、令和5年3月に施設の供用開始を迎えますと、子育て、健康づくり、交流など、多世代で賑わう声が戻ってまいります。
次に、本市では、スポーツを「する」「みる」「ささえる」ことで、人との交流やつながりを持ち、健康で豊かな生活を営むことができるまちづくりを目指しています。佐伯地域に練習拠点を整備するプロバスケットボールチーム「広島ドラゴンフライズ」、国内でトップクラスの女子ホッケー部「コカ・コーラボトラーズジャパンレッドスパークス」や、今春に本格始動する、中四国初となる女子社会人硬式野球チーム「はつかいちサンブレイズ」。こうした市内外に拠点を持つスポーツ団体との連携や、各団体が保有している資源を生かしたさまざまな取組を展開することにより、地域の活性化や交流人口の拡大による、まちの賑わいと活力の創出など、スポーツを核としたまちづくりを推進してまいります。
なお、こうした取組をより効果的・効率的に推進するため、スポーツに関する事務を教育委員会から市長部局に移管します。
次に、中山間地域振興でございます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした働き方改革やアウトドア志向の高まりは、豊かな自然の中で開放的な時を過ごすことができる中山間地域にとってチャンスであり、この機を逃すことなく、交流人口の拡大、関係人口の創出および移住・定住人口の増加に向けて力強く取り組んでまいります。
あわせて、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域づくりに向けて、地域住民が主体的に取り組むまちづくり活動への伴走支援を実施することにより、地域力の維持・強化を図ってまいります。
佐伯地域では、多くのファミリー層が訪れる佐伯総合スポーツ公園を核として、中山間地域の回遊促進に取り組んでいくとともに、浅原交流拠点施設、玖島の里づくり交流拠点施設において、地域自治組織と連携を図りながら、来訪者との交流促進や地域の活力創出に取り組んでまいります。
吉和地域では、住民が暮らし続けるための小さな拠点の形成に向け、引き続き、地域の維持・活性化に向けた取組に対する支援を行うとともに、多様な機能を有し、市民と来訪者とのふれあいと交流促進の拠点となる、吉和支所、吉和ふれあい交流センターおよび吉和歴史民俗資料館からなる複合施設の整備を、令和5年春の供用開始に向けて取り組んでまいります。
また、事業者の誘致活動に加え、地域課題の解決を視野に入れたワーケーションプランの開発にも取り組んでまいります。
次に、宮島における取組についてでございます。
宮島の昨年の来島者数は、統計を開始した昭和39年以降、最も少ない188万人にとどまるなど、長引く新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けています。
このような状況の中、昨年8月に、宮島の町並みが、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。先人たちが守り、伝えてきたこの町並みの次世代への継承など、「宮島まちづくり基本構想」に基づく各種取組を着実に推進してまいります。
また、現在策定中の「宮島ルネサンス計画」に基づき、ニューノーマル時代に適した「宮島らしい」観光を推進し、国際的観光地宮島の再生・復興に取り組んでまいります。
宮島訪問税の導入に向け、令和5年度中を目途に、徴収システムの構築を進めています。しかるべき時期に徴収開始できるよう、関係事業者等との協議、調整を進め、諸準備を整えてまいります。
次に、デジタル技術の活用でございます。
コロナ禍を契機に、さまざまな分野において我が国のデジタル化の遅れが顕著となり、国は、昨年9月にデジタル庁を発足させました。今後、国・地方を通じたデジタル化の流れは、より一層加速することが見込まれます。
こうした時代の流れに乗り遅れることのないよう、新たに経営企画部に「デジタル改革推進課」を設置し、組織横断的な庁内体制を構築するとともに、今年度策定する「廿日市市DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進計画」に基づく取組を推進し、いつでも、どこでも、簡単、便利な行政サービスの提供によるスマート市役所の実現や、過疎地域における暮らしの向上に向けた実証実験、観光・交通分野におけるDXの推進など、デジタル技術を活用し、新たな価値を創造するスマートシティの構築を図ってまいります。
次に、再生可能エネルギーの導入促進等の地球温暖化対策でございます。
国際的な脱炭素の動向が大きく変化する中、国は、これまでの温室効果ガス排出量の削減目標を大きく前倒した「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、地球温暖化対策推進法を見直し、すべての地方公共団体が、再生可能エネルギー等の利用促進を図り、その実施目標を定めるように努めることが位置づけられました。
これまで本市では、市の事務事業に伴う温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、太陽光発電設備の設置促進など、地球温暖化対策の取組を行ってまいりましたが、今後は、民間提案制度を活用した屋外照明灯の一斉LED化や市役所・支所などの主要な公共施設の照明のLED化を進めるほか、市民や民間事業者が排出するものも含め、市域全体の温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にすることを目指し、取り組んでまいります。
【持続可能な行財政運営の推進】
3点目は、持続可能な行財政運営の推進でございます。
人口減少に加え、少子化、超高齢社会が進展する時代にあっては、生産年齢人口の減少や社会保障関係費の増大といった財政運営上の影響を見据えつつ、限られた経営資源を効率的・効果的に活用していく視点が欠かせません。
部の再編により多様化・複雑化する行政課題や市民ニーズに即応した施策を総合的かつ機動的に展開していくとともに、中期財政運営方針に基づき、将来の財政リスクへの備えや将来負担の抑制に努め、将来にわたって、安定的な市民サービスを提供し、新たな行政需要にも的確に対応できる健全な行財政運営を行ってまいります。
今年度実施した行政評価では、各所属から、事務事業の改善に向けた14事業が提案され、2つの事業の廃止を決定しました。引き続き検討を進めていく事業もございますが、行政評価の取組を実践していく中で、職員の意識は確実に変わってきていると感じています。
令和4年度当初予算編成においても、全般にわたる事務事業の見直しにより、一定の経費削減効果も出ており、今後とも行政評価というツールを活用しつつ、不断の事務事業の見直しに取り組んでまいります。
また、歳出の見直しだけでなく、企業版ふるさと納税の導入や民間提案制度の活用など、新たな財源の確保策や事業手法についても積極的に取り組んでまいります。
その上において、新型コロナウイルス感染症に起因して、日々刻々と変化する情勢に、敏感に、そして冷静に対応できるよう、日頃から情報収集に努めるとともに、想像を働かせておくことが必要であると考えています。
3 令和4年度総合計画体系別主要事業
令和4年度は、地域医療拠点の一部として整備した官民複合施設や総合健康福祉センター内の相談支援拠点、筏津地区公共施設の運営が開始されます。また、吉和支所複合施設が完成を迎え、これまでのまちづくりが着々と花開き、新たな交流や賑わいが創出されることとなります。多世代にわたって安心して暮らすことができ、思いやりと希望に満ちたまちへの変革の年と捉えています。
そこで、令和4年度の主要事業でございます。
第6次廿日市市総合計画に掲げる将来像を実現するための四つの方向性に基づき、施策体系に沿って、主な取組を御説明いたします。
方向性1 くらしを守る
方向性1「くらしを守る」でございます。
健康でいきいきと生活できるまちをつくる(重点施策1-1)
重点施策1「健康でいきいきと生活できるまちをつくる」でございます。
市民が、健康づくりに関心を持ち、生涯にわたって生き生きと暮らすことのできるまちづくりを目的とした「第3次健康増進計画」および「第3次食育推進計画」の策定に向け、市民の意見を幅広く反映させるため、市民アンケートの実施やワーキング会議を開催します。
高齢者のフレイル(虚弱)状態の進行を予防し、健康寿命を延伸するため、健康教育や健康相談など、保健事業と介護予防を中山間地域において一体的に実施します。
また、地域医療の更なる充実に向け、JA広島総合病院新棟の建設に向けた支援を行います。
移動しやすく便利なまちをつくる(重点施策1-2)
重点施策2「移動しやすく便利なまちをつくる」でございます。
誰もが便利に安心して移動できるよう、公共交通による通学、通院、買い物等の日常生活における移動手段を確保するため、引き続き、民間バス路線に対する運行補助や地域主体による移動手段確保の取組に対する支援を行ってまいります。
持続可能な公共交通ネットワークの構築に向け、市内公共交通網の再編を進めていくため、次期地域公共交通計画を策定し、自主運行バスの運行の効率化と利便性の向上を図ります。
また、民間の交通事業者と連携し、デジタル技術を活用した公共交通の利便性向上に取り組んでまいります。
広域的な幹線道路である広島南道路については、国が事業主体となり、事業化に向けて動いていただいており、整備の早期実現を図っていくとともに、臨港道路廿日市草津線の整備促進により、沿岸域における一体的な道路交通ネットワークを構築してまいります。
その他、街路畑口寺田線の整備など、都市間を結ぶ幹線道路の整備を推進してまいります。
また、地域間を結ぶ林道玖島川末線や幹線道路を補完する熊カ浦鯛ノ原線、堂垣内広池山線等の整備を始め、大野地域と大竹市を連絡する路線である鳴川3号線の整備や筏津地区公共施設再編事業に合わせた筏津郷線の整備を推進します。
さらに、国道2号・鳴川海岸の防災・減災対策については、現在、国において事業化に向けた検討が進められており、市としても地元調整など国に協力することで、護岸整備の早期実現を図ります。
拠点性を高めるまちづくりに向け、都市機能が集積するシビックコア地区を中心に、広島都市圏西部の広域拠点にふさわしい賑わいと魅力ある都市拠点の形成に向け、関係者と市街地整備の具体化に関する協議を進めてまいります。
また、大規模住宅団地において、暮らしや住まいづくりに関する住民意向の把握を行い、将来に向けたあり方の検討や体制づくりの支援を通じて、住宅団地の活性化につなげてまいります。
第11次廿日市市交通安全計画に基づき、交通安全教室や各種啓発活動等を関係機関と連携して実施し、市民の交通安全意識の向上に取り組むとともに、通学路や生活道路など、誰もが安心して歩行・通行できる環境の整備に努めてまいります。
安全で安心なまちをつくる(重点施策1-3)
重点施策3「安全で安心なまちをつくる」でございます。
災害の発生に備えた社会基盤の整備として、引き続き、国や県が行う砂防事業等の促進を図るとともに、急傾斜地の崩壊対策や河川の護岸改修、浚渫を行います。
また、個々に観測している気象情報や雨量・水位・土壌雨量指数の観測情報等の多数の情報を同時に表示し、災害対応に必要な情報収集や共有が図られるシステムを導入することで、市の防災体制を強化し、市民の安全・安心につなげてまいります。
水防法の改正による浸水区域の見直しに伴い、浸水ハザードマップの改定を行い、市民に配布、周知することで、円滑かつ迅速な避難誘導を促進します。
また、引き続き、市民の早期避難を促す「避難の呼びかけ体制」の構築や、避難行動要支援者の個別避難計画作成を促進するとともに、防災士の養成や自主防災組織の活動を支援するなど、地域の防災力を強化します。
佐伯支所に隣接し、整備を計画している消防・防災拠点施設の佐伯消防署については、令和5年度からの工事着手に向け、実施設計を行います。
消費者の安全を確保するため、今年の4月1日から成年年齢を18歳へ引下げることに伴う、若年者への消費者教育の推進を始め、引き続き、消費生活センターによる相談、苦情処理のための助言やあっせん、情報提供を行うとともに、関係機関と連携した情報発信、啓発活動により、被害の未然防止に努めてまいります。
いつまでも住み続けられるまちをつくる(重点施策1-4)
重点施策4「いつまでも住み続けられるまちをつくる」でございます。
地域共生社会の実現に向け、分野、世代、内容にかかわらず、相談を受け止め、包括的な支援を円滑に行うことができるよう、相談支援、参加支援、地域づくり支援を一体的に行うとともに、総合健康福祉センター内に「相談まるごとサポートデスク」を設置します。
また、総合健康福祉センターと市役所本庁舎間において、遠隔で書類の確認や相談等を行うことができるシステムを整備します。
地域医療拠点において、「多世代サポートセンター」を4月に供用開始し、乳幼児から高齢者まで、あらゆる世代の市民の健康の増進と福祉の向上を図り、併せて地域の交流活動を促進してまいります。
高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を続けることができるよう、「高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画」の策定に向け、在宅介護実態調査やニーズ調査を実施します。
また、地域包括支援センターを増設するとともに、在宅医療と介護、その他の関係者の連携を推進する体制を整備します。
誰もが地域社会において暮らしやすいまちづくりのため、引き続き、障がいのある人の自立支援や理解促進等に取り組みます。
人権啓発等を推進する佐方会館およびふれあいプラザの機能を集約・再編し、利用者が安心して快適に利用できるよう、現ふれあいプラザを改修し、令和5年4月から新佐方会館として供用開始できるよう整備します。
性の多様性に配慮した社会の実現のため、4月からパートナーシップ宣誓制度を導入し、誰もが安心して幸せに暮らすことのできるまちづくりに取り組みます。
グローバル化や国際化に対応するとともに、すべての市民が国際社会の一員として支え合い、多様な文化や価値観を尊重しながら、持てる力を最大限に発揮できるまちづくりを推進するための「国際化・多文化共生推進指針」を策定します。
豊かな自然を次世代につなぐ(重点施策1-5)
重点施策5「豊かな自然を次世代につなぐ」でございます。
「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けた地球温暖化対策推進法の改正を踏まえ、本市においても、市民や民間事業者による取組も含めた、「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の策定に着手し、市域全体の温室効果ガス排出量の削減目標の設定や、その実現に資する施策の検討を行います。
また、廃プラスチック問題などの新たな社会情勢の変化を踏まえ、持続可能な循環型社会の形成に向け、「第3次一般廃棄物処理基本計画」を策定します。
これらの取組により、脱炭素と資源循環の両立を目指します。
方向性2 人を育む
方向性2「人を育む」でございます。
子どもたちがたくましく自立し確かな学力を身につける(重点施策2-1)
重点施策1「子どもたちがたくましく自立し確かな学力を身につける」でございます。
児童生徒が高度情報通信社会に対応できるよう、ICT指導員を拡充し、教員のICT活用指導力を高めていくとともに、先進的な取組を共有し、授業等で一人1台端末の活用場面の拡大を図ってまいります。
すべての児童生徒が安心して学習や活動に取り組むことができるよう、スクールカウンセラー等の専門家の支援を受け、相談体制を充実させ、いじめの未然防止に努めます。
また、不登校児童生徒への対応として、5月には、子ども相談室を総合健康福祉センターに移転し、福祉と教育が連携したワンストップでの相談・教育体制を築き、教育支援、教育相談に当たるとともに、発達障害等のある児童生徒の社会的自立を目指し、特別支援教育の充実を図ってまいります。
児童生徒が集中して学習でき、快適な学校生活を送ることができるよう、小中学校の特別教室に空調設備を整備します。
郷土の歴史・文化を次世代につなぐ(重点施策2-2)
重点施策2「郷土の歴史・文化を次世代につなぐ」でございます。
宮島地域の歴史的町並み景観を保存・復元・継承するため、宮島における景観形成の方針を策定するとともに、重要伝統的建造物群保存地区内の建造物への補助を行います。
地域の歴史文化に係る資料保存や情報発信の拠点である歴史民俗資料館の再編を進めるため、宮島歴史民俗資料館の整備に向けた基本計画を策定します。また、吉和歴史民俗資料館を、吉和支所複合施設内に整備します。
未来を担う人づくり(重点施策2-3)
重点施策3「未来を担う人づくり」でございます。
出産や育児に対する不安や悩みへのきめ細やかな対応や、産後うつを予防するため、妊娠期から産後1年未満の妊産婦が助産師や保健師に相談できる「産前産後サポートセンター」を多世代サポートセンター内に開設し、安心して子育てができる環境を整備します。
すべての子育て家庭に切れ目のない支援を行っていくため、はつかいち版ネウボラを充実させてまいります。
児童が保育園で安心して楽しく過ごせるよう、複合遊具を市産材を活用して更新し、児童の成長発達につなげてまいります。
中山間地域に暮らす子どもたちの進学先であり、本市の未来を担う人材を育成する場でもある県立佐伯高等学校の存続に向けて、地域・学校と連携を図りながら、県内外への同校の魅力発信、学力向上を目指す公営塾の開催、下宿や遠距離通学する生徒への支援などに、強力に取り組んでまいります。
方向性3 資源を生かす
方向性3「資源を生かす」でございます。
ライフステージに応じた支援をする(重点施策3-1)
重点施策1「ライフステージに応じた支援をする」でございます。
性別に関係なく、誰もが自分らしく活躍できる社会を実現するため、固定的な性別役割分担意識を払拭し、男女共同参画の意識を高めるための啓発に取り組んでまいります。
地域のまちづくり活動を支える環境をつくる(重点施策3-2)
重点施策2「地域のまちづくり活動を支える環境をつくる」でございます。
地域力の維持・強化や、地域における新たな活力創出、地域経営の仕組みづくりに向けた地域自治組織の活動を引き続き支援し、持続可能なまちづくりを推進してまいります。
市民センターを誰もが安心して快適に利用できるよう、エレベーター設置やトイレ洋式化に向けた実施設計を行ってまいります。
地域資源の活用を図る(重点施策3-3)
重点施策3「地域資源の活用を図る」でございます。
農業指導員による伴走支援や国の制度の活用により、地域農業の担い手となる経営力の高い農業者の育成・確保を図ってまいります。
有害鳥獣被害が増加する中、営農意欲の維持・向上と、市民の安全を守るため、民家近くに出没するサルの捕獲作業等も行うことで、鳥獣被害対策の強化を図ってまいります。
公共施設や遊具などに市産材を活用することで、市民が身近に木に触れる機会を創出し、木材利用への意識の向上を図り、市産材の有効活用を促進するとともに、本市経済を牽引する成長産業の一つに位置づけている木材関連産業の振興を図るため、本市の林業・木材産業の状況把握を行い、必要な施策を検討してまいります。
また、森林資源の搬出および林産物の流通の合理化並びに農林業地域の環境改善を図るため、林道の開設および改良を行ってまいります。
漁港および海岸保全施設を適切に維持管理するため、市が管理する漁港における放置艇対策に取り組むとともに、漁港の老朽化対策として、護岸改良工事を行います。
令和3年に発祥100周年を迎えたけん玉の歴史や製造工程等を後世に継承するため、その内容を掲載した冊子を制作し、市内の小中学校や図書館等に配架します。
観光ブランド力の向上を図る(重点施策3-4)
重点施策4「観光ブランド力の向上を図る」でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響で減少した観光客の回復を図るため、引き続き、官民一体となった実行委員会(廿日市市新型コロナウイルス感染症対策産業振興実行委員会)を中心に、プロモーション事業等を展開し、観光客誘致に取り組みます。
AR等を活用したコンテンツの造成やデータの利活用など、観光DXを推進し、旅のサービスの質の向上や観光消費額の増加を図ってまいります。
今後の宮浜温泉のあり方や方向性を定める基本構想を策定し、宮島や大野瀬戸の海岸と一体感を醸しだす温泉街としての魅力を高めるとともに、新たな温泉源を掘削し、さらなる活性化を目指します。
宮島水族館においては、新展示施設「はつこい庵」を最大限に活用した新たな宮島水族館の魅力発信に努めるとともに、社会教育施設の役割としてSDGsの取り組みを積極的に推進し、「学びの水族館」を演出してまいります。
方向性4 新たな可能性に挑む
方向性4「新たな可能性に挑む」でございます。
はつかいちの新たな魅力を創造する(重点施策4-1)
重点施策1「はつかいちの新たな魅力を創造する」でございます。
本市において、最も高い土地需要のある沿岸丘陵部での事業用地確保を最優先に、民間活力を活用した新たな事業用地の開発に向けた取組を進めてまいります。
本市に立地意向を示している企業に対するヒアリングなど、立地市場調査を引き続き実施します。
市民の雇用機会の確保、および情報サービス業を始めとした新たなビジネスの創出を促進していくため、事業所を市外から市内に移転または新設するために建物を新たに借り受けて事業を行う法人や個人に対し、内装改修費やオフィス賃借料等の一部を補助します。
宮島口地区を新たな観光交流拠点とし、賑わいを創出できるよう、港湾整備や市道などのハード整備を進めるとともに、良好な景観形成やエリアマネジメント等のソフト対策を推進します。
また、渋滞対策については、従来の取組に加え、広島岩国道路への利用転換を図るための実証実験に向け、関係機関との調整を進めてまいります。
市民に本市の魅力を改めて感じてもらうため、多角的な視点でその魅力を学ぶことができる廿日市市再発見講座「廿学」を引き続き実施し、シビックプライドの醸成につなげ、転出抑制を図ってまいります。
市民が主役!チャレンジを応援する(重点施策4-2)
重点施策2「市民が主役!チャレンジを応援する」でございます。
市民がスポーツに親しむことのできる環境の整備や、市内外のトップアスリート等とのふれあいによって、子どもたちに夢と希望を与える機会を創出します。
創業者を増やし、地域経済の活性化につなげるため、市内経済団体や産業支援機関と連携し、創業意識啓発事業や創業セミナーを実施します。
地域資源のブランド化、マーケティングや販路開拓等を担う地域商社および持続可能な観光地経営を行っていくためのDMO(観光地域づくり法人)の設立に向け、令和3年度に実施した基礎調査を踏まえ、この取組に関心を示した事業者を中心にサウンディング調査および事業戦略、事業計画、スケジュール設計など事業構想を策定します。
4 予算編成について
以上、述べました方針と、戦略的な取組への重点配分を考慮しながら予算編成した結果、令和4年度一般会計当初予算案の総額は、526億5,000万円、また、特別会計の当初予算案の総額は、8会計で、256億9,556万6千円、企業会計の当初予算案の総額は、3会計で、133億5,918万1千円となりました。
終わりに
市長としての任期も折り返しを迎えましたが、これまでの2年間は、新型コロナウイルス感染症との戦いでした。市民の皆様にとっても、コロナ禍という未曾有の事態を経験する中で、今まで当たり前にできていたことができなくなり、将来に不安を感じることも多くあったと思います。
先の見通しが予測困難な時代ではありますが、現在を生きる我々には、将来の廿日市市民に対して、責任を持って、安心して暮らし続けられるまちを引き継いでいく使命があります。
人口減少や行財政運営など、地方自治体を取り巻く環境は、今後も厳しさを増していくものと思われますが、私は、この困難に打ち勝ち、チャンスとすべく、強い気持ちを持って先頭に立ち、市政運営に邁進していく所存でございます。そして、本市がトップランナーとして、市民が夢と希望をもてるまちづくりに、市役所一丸となって取り組んでまいります。
第6次廿日市市総合計画に掲げる、まちづくりの基本理念「市民一人一人が幸せに暮らせるまちづくり」を実現するため、失敗を恐れずチャレンジしてまいります。
終わりに、市政の遂行に当たり、市議会議員各位並びに市民の皆様の格別なる御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げまして、施政方針とさせていただきます。