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平成31年度 廿日市市施政方針
平成31年度 廿日市市施政方針(平成31年2月22日)
はじめに
平成31年第1回廿日市市議会の開会に当たり、新年度の施政方針を申し述べ、市議会議員各位並びに市民の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。
昨年、本市は、市制施行30周年の節目を迎え、これまでの歩みを振り返るとともに、これからの発展を願い、記念式典を執り行うことができましたことを関係各位に改めて御礼申し上げます。
昨年の世相を表す漢字は「災」でした。日本列島では、6月の大阪府北部地震、8月・9月に相次いで徳島県南部に上陸した台風、9月の北海道胆振東部地震など、改めて自然の脅威を感じ、有事の際の備えを見直す1年となりました。
特に、7月の「平成30年7月豪雨」は、西日本を中心に200人を超す尊い命が失われたとともに、5000か所以上の土砂崩れ、3万8000棟にも及ぶ建物損壊など、甚大な被害をもたらしました。
これら災害によって亡くなられた方、そして被災された皆様に、改めてお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、1日も早い復旧、復興を切に願っております。
近年、多発する自然災害は、私たちの知識や経験による想定をはるかに超えるものも多くあり、被害を最小限に抑えるためには、「自助」「共助」「公助」が有機的につながることが重要でございます。
市民一人ひとりの災害に対する日頃からの備えなど、防災意識の向上や、地域の自主防災活動への積極的な支援を行うとともに、わかりやすい情報発信、迅速な初動体制の確立に努めるなど、防災・減災の取組を実行し、誰もが安全で安心して暮らせる、災害に強いまちづくりを進めたいと考えております。
災害に関する情報が多い中、心安堵したニュースは、14年もの長きにわたりご遺族を苦しめ、地域住民へ不安を与え続けた、上平良の女子高生殺害事件の容疑者が逮捕されたことでございます。
捜査関係者のたゆまぬ努力と、近代科学捜査の結晶ともいえる本事件の解決に心から敬意を表するとともに、チラシ配布など捜査にご協力をいただきました多くの方々に感謝申し上げます。
さて、今年は、「海に浮かぶ世界遺産」の共通点から、フランス モン・サン=ミッシェル市と観光友好都市提携を結んで10周年を迎えます。来年度に開催を計画している記念行事を通して、世界的観光地としての連携を深め、更なる交流の広がりを期待するところでございます。
日本政府観光局が平成31年1月16日に発表した平成30年中に日本を訪れた海外からの入国者数は、過去最多であった平成29年を250万人上回る、8.7%増の3119万人となり、観光消費額も約4兆5千億円と過去最高を記録しています。
宮島を訪れた外国人もおよそ35万人と過去最多を記録しており、今後、公共交通機関や観光スポットでの多言語表示など、インバウンドの受入環境を強化する必要があります。
あわせて、国内外からの観光客を魅了してやまない、宮島の自然・文化・歴史を守り、次世代に継承するとともに、観光地としての質的向上を図るための財源確保について、法定外目的税に代わる他の手法も検討するよう考えております。
本市の将来の発展を担う事業として進めております、三つの大きなプロジェクトについてでございます。
新機能都市開発推進事業については、平良丘陵開発土地区画整理準備会を支援するとともに、関係機関と協議を行い、事業を推進してまいります。
地域医療拠点等整備事業については、医療・保健・福祉の連携拠点の整備による地域医療の向上を図るため、早期完成を目指します。
宮島口地区整備事業については、地区内の利便性や生活環境の向上に取り組むとともに、2020年度に供用開始予定の宮島口旅客ターミナル整備を広島県と協力して進めてまいります。
次に、平和への取組でございます。
本市は、昭和60年に核兵器廃絶宣言をしており、これからも広島や長崎の悲劇を風化させることなく、戦争のない平和な未来を目指さなくてはなりません。
そうした中、本年2月上旬に、アメリカ合衆国、及びロシア連邦が中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄や履行停止を表明するなど、核軍縮に逆行する動きが顕在化しています。
引き続き、国に対して、世界で唯一の戦争被爆国として、核廃絶・恒久平和を目指すよう強く働きかけるとともに、関連団体と協力し、平和行政の推進に努めてまいります。
1 市政を取り巻く諸情勢
市政を取り巻く諸情勢に関してでございます。
〈経済・雇用情勢〉
はじめに、経済情勢でございます。
政府の経済見通しによりますと、雇用・所得環境の改善が続く中、国の景気は緩やかな回復が続いているとされています。
しかしながら、「米中貿易摩擦」や、アメリカ合衆国の離脱後、昨年12月30日に日本を含む11か国が参加して発効された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など、不安定な通商問題に加え、イギリスの欧州連合(EU)からの離脱が日本国経済に与える影響に十分留意する必要があります。
また、今年10月には、消費税率が10%に引き上げられます。全ての世代が安心して活躍できる社会を実現する安定財源を確保するために導入されるものであり、この制度改正の意義や、それによって得られる財源の使途を踏まえた上で、社会保障制度の充実に向けた取組を進めていかなければなりません。
次に、雇用情勢でございます。
県内の雇用情勢は、着実に改善が進む中、求人が求職を大幅に上回って推移しています。広島県内の有効求人倍率は、平成30年12月には2.09倍に達し、東京都に次ぐ全国2番目の高水準となっています。また、正社員有効求人倍率についても、記録のある平成16年以降最高となるなど、県内の雇用情勢は改善が進んでいる状況にあります。
その一方で、倒産理由に占める人手不足の割合が増加するなど、労働力不足が深刻な問題となっております。
〈財政状況〉
国が公表した平成31年度の地方財政計画では、「経済財政運営と改革の基本方針2018」で示された「新経済・財政再生計画」を踏まえ、地方の安定的な財政運営に必要となる地方交付税等の一般財源総額において、平成30年度を0.6兆円上回る62.7兆円を確保したとしています。
引き続き、有利な財源の確保などに努め、第6次総合計画の前期基本計画の着実な実行と将来の行政需要に的確に対応できる財政基盤の構築を進めてまいります。
また国では、人口減少が深刻化し、高齢者人口がピークを迎える2040年に向けた経済政策について、昨年度「未来投資戦略2018」を発表するとともに、第32次地方制度調査会において将来の地方行政体制のあり方について審議しているところでございます。また、税制調査会では、地方税のあり方についての見直しが進められています。
さらに、新たな外国人材受入れのため、在留資格の創設などが盛り込まれた出入国管理及び難民認定法の改正や、水道事業の運営基盤強化に向けた、官民連携や広域連携等の推進方策などが盛り込まれた水道法の改正が行われています。
今後も、こうした国の動向を注視するとともに、目まぐるしく変化する社会情勢に適応し、長期的視点に立った市政運営に努めてまいります。
2 平成31年度の市政運営の基本的考え方
市政運営の基本的考え方に関してでございます。
〈魅力あるまちづくり〉
私が、平成31年度の事業展開において、特に重点を置いている点は三つあり、その一つが「魅力あるはつかいちの創造」でございます。
これまで、本市の魅力をシティプロモーションにより国内外に発信してまいりました。引き続き、本市の認知度及び好感度の向上とシビックプライドの醸成を目指した取組を進めてまいります。その一つとして、はつかいち応援大使や、テレビ・ラジオなどを活用したメディアプロモーションにより、より強力に本市の魅力を発信してまいります。
さらに、宮島の観光ブランド力の向上を目指し、多言語誘導サインや無料公衆無線LANの整備などを進め、観光客の受入環境の充実を図ってまいります。
また、2020年のASTCアジアトライアスロン選手権を本市に招致・開催することで、多くの市民に関わっていただき、「するスポーツ」「みるスポーツ」「ささえるスポーツ」の振興を図るとともに、国際交流や青少年健全育成、観光振興、そして世界に向けた情報発信を行っていきたいと考えております。
〈きめ細かな地域への対応〉
重点的に進める事業の二つ目は、「地域課題へのきめ細かな対応」でございます。
2040年に人口11万人の維持を目指すと同時に、地域の持続的発展を支えるために必要な地域力の維持向上、移住・定住人口の増加など喫緊の課題に対応した各種施策、地域づくりを推進するため、各支所を中心に地域との協働により事業を展開してまいります。
廿日市地域においては、住宅団地における買物困窮者の支援と住民同士の交流を目的に、地域住民自らが、「買物サロン」を開設する取組を支援します。
中山間地域においては、地域力の強化に重点を置き、人材育成塾を開催するほか、移住・定住を促進するために、住宅の新築等に要する費用の一部を補助する制度の創設や、企業のサテライトオフィス誘致に向けた取組、遊休施設を活用したお試しオフィスの開設を行います。
佐伯地域においては、佐伯総合スポーツ公園の再整備に伴い、新たに大型複合遊具を整備するほか、来訪者の回遊促進方策の検討や地域運営の仕組みづくりを行います。
また、子どもを安心して産み育てられる環境を整えるため、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する「ネウボラさいき」を佐伯支所に開設するとともに、育児に関する相談や子育てサークルの育成支援などを行う「佐伯子育て支援センター」を津田児童館内に開設します。
吉和地域においては、小さな拠点の形成と公共施設再編に取り組むため、支所、市民センター等の公共施設を機能集約する吉和支所複合施設整備に係る基本計画の策定に着手します。
さらに、長年、夏休みを中心に地域で自主運営されてきた吉和地域の留守家庭児童会について、新たに平日も開会できるよう市の運営に移行し、子育て中の保護者の皆様がいつでも安心して就労できる環境を整えます。
大野地域においては、引き続き筏津地区の公共施設再編事業の具体化に取り組むとともに、急増する子育て世帯への対応を見据え、「ネウボラおおの」を大野支所に開設します。
また、宮島口地区の渋滞緩和を図るとともに、地区内の交通の利便性を向上させるため、赤崎3号線、赤崎14号線の整備を進めるほか、宮島口地区の景観形成の推進を図ります。
宮島地域においては、引き続き、地域拠点施設の整備に取り組むとともに、歴史的町並みを保存・復元・継承するため、伝統的建造物群保存地区制度を導入し、支援策を実施します。
なお、宮島地域では、人口は減少の傾向にあるものの、観光客の増加による様々な地域環境の大きな変化が生じていることから、改めて宮島の普遍的価値を見つめ直し、将来の宮島はどうあるべきかについて、専任組織を設置し、長期的な視野による将来構想をまとめ、お示ししていきたいと考えております。
〈未来を見据えた計画づくり〉
最後は、「市民との協働による行政経営」でございます。
第6次総合計画の前期基本計画に掲げる重点事業を着実に推進するとともに、2021年度から5年間のまちづくりの指針となる、後期基本計画の策定に着手いたします。計画の策定に当たりましては、第6次総合計画で定めた「めざす将来像」の実現に向けた取組について、市民の皆様とともに検討していきたいと考えております。
3 平成31年度総合計画体系別主要事業
次に、平成31年度の主要事業に関してでございます。
第6次総合計画に掲げる将来像を実現するための四つの方向性に基づき、施策体系に沿って、新規事業を中心にご説明いたします。
方向性1 くらしを守る
方向性1「くらしを守る」でございます。
健康でいきいきと生活できるまちをつくる(重点施策1-1)
重点施策1「健康でいきいきと生活できるまちをつくる」でございます。
風しんの予防、感染拡大を防ぐため、定期接種の機会がなかった世代の男性に対し、抗体検査と予防接種を行うほか、病気の早期発見のため集団検診等Web予約システムの運用を開始するとともに、胃がん検診に新たに内視鏡検診を導入し、検診精度の向上を図ります。
また、白血病などの治療に有効な骨髄移植を促進するため、骨髄提供者への助成制度を設けます。
さらに、スポーツによる市民の健康づくりを推進するため、生涯スポーツ活動への支援を行うとともに、佐伯総合スポーツ公園のトレーニング機器の更新やトイレ改修、廿日市市サッカー場の観覧スペース整備などを行います。
移動しやすく便利なまちをつくる(重点施策1-2)
重点施策2「移動しやすく便利なまちをつくる」でございます。
沿岸部のバス路線再編に伴う新規路線の運行や、既存路線の見直しを実施するとともに、宮島地域の移動の利便性を高めるため、宮島メイプルライナーを島内在住者が利用する場合に、市自主運行バスと同様の運賃となるよう負担軽減策を実施します。
また、幹線道路体系整備の取組として、広島はつかいち大橋や街路畑口寺田線など、都市間をネットワークする幹線道路の機能向上を図ります。
さらに、生活道路の計画的な整備や、大野地域の市街地を南北に横断する補助幹線道路の熊ヶ浦鯛ノ原線の整備を進めます。
平成30年度に導入した高齢者運転免許自主返納者への支援制度については、市自主運行バスの無料利用者証の有効期間を延長します。
安全で安心なまちをつくる(重点施策1-3)
重点施策3「安全で安心なまちをつくる」でございます。
防災・減災の取組として、災害時に迅速・的確に避難できるよう、土砂災害ハザードマップを作成・配布することや、地域防災相談員による出前トークを実施し、市民の防災意識の向上を図るとともに、子どもたちが災害時に自ら考え、行動できる力を身に付けるため、小・中学生への防災教育を実施します。
また、自主防災組織における主体的な防災への取組を支援するとともに、新たに防災士50名を養成するなど、地域防災力の向上を図ります。
さらに、
・迅速な災害情報の収集・発信のため、佐伯・宮島地域の防災行政無線設備機器の更新整備と災害時のタイムラインの作成
・防災機能を備えた大野東部公園の整備、及び急傾斜地崩壊防止施設の計画的な整備
・通学路などの沿道にある危険なブロック塀等の除去、及び建替えに要する費用の一部補助
など、安全・安心な基盤整備に取り組んでまいります。
「犯罪のない安心して暮らせるまちづくり」の取組として、消費者の安全を確保するため、引き続き、消費生活センターによる相談、苦情処理のための助言やあっせん、情報提供を行うとともに、関係機関と連携した情報発信、啓発活動により被害を未然に防止します。
また、持続可能なまちづくりに向けて、一定の条件を満たす地域管理の私道について、舗装補修に要する費用を補助する制度を創設します。
さらに、空き家化の未然防止や危険空き家の解消を促進し、まちづくりに資する空き家の活用について、地域自治組織等と協働により取り組むなど、良好な生活環境の維持と安全・安心の確保を進めます。
いつまでも住み続けられるまちをつくる(重点施策1-4)
重点施策4「いつまでも住み続けられるまちをつくる」でございます。
救命率向上のため、救急救命士の養成や教育を行います。また、休日・夜間急患診療所及び吉和診療所を適正に管理するほか、在宅医療を支える訪問看護の促進や人材確保を図るため、訪問看護師の研修費用の一部を助成するなど、初期医療体制の確保を図ります。
増加する外国人市民が安心して生活できるよう、多文化共生相談員を増員配置します。また、多様な主体による地域包括支援体制を構築するため、地域福祉カルテの地図情報などをWebGISに移行し、地域における課題の可視化を行うとともに、実践のための対話の場づくりに取り組みます。
誰もが住み慣れた地域での生活が継続できるよう、「高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画」の策定に着手するとともに、地域住民が取り組んでいる互助活動の支援や、高齢者が積極的に社会参加し、自らの介護予防につながるようボランティアポイント制度を充実します。
また、日常生活用具の給付対象に「人工内耳用電池」と「充電機器」を加え、人工内耳装用者の経済的負担の軽減を図ります。
豊かな自然を次世代につなぐ(重点施策1-5)
重点施策5「豊かな自然を次世代につなぐ」でございます。
廃棄物の焼却エネルギーを最大限活用する発電システムを導入した「はつかいちエネルギークリーンセンター」を4月から供用開始し、循環型社会の形成を促進します。また、水質保全を図るため、公共下水道の整備推進や合併浄化槽設置の支援を行うなど、生活排水の適正な処理を促進します。
方向性2 人を育む
方向性2「人を育む」でございます。
子どもたちがたくましく自立し確かな学力を身につける(重点施策2-1)
重点施策1「子どもたちがたくましく自立し確かな学力を身につける」でございます。
学校支援地域本部を地域学校協働本部へ移行し、地域と学校がより連携・協働することで、地域全体で未来を担う子ども達の成長を支える仕組みづくりを進めます。
情報化社会に対応するICT教育など、社会のニーズに応じた教育を推進するとともに、心の悩みをしっかりと受け止めるための相談体制を整えます。
また、市内の公立小・中学校のトイレの洋式化を進めると同時に、児童生徒が授業に集中し、確かな学力を身に付けられる環境整備として、普通教室などに空調設備を設置します。
さらに、子どもを安心して産み育てられる環境の整備のため、「第2期子ども・子育て支援事業計画」の策定を行うとともに、ネウボラ体制の拡充及び宿泊型産後ケアと日帰り型産後ケアの開始により、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を強化することで、育児不安の解消を図ります。
郷土の歴史・文化を次世代につなぐ(重点施策2-2)
重点施策2「郷土の歴史・文化を次世代につなぐ」でございます。
津和野藩主が参勤交代などの往来に際し、廿日市に津和野藩御船屋敷を設けてから2020年に400年を迎えるため、島根県津和野町や関係団体とのつながり・連携関係を構築するとともに、記念の交流事業に係る準備を行います。
未来を担う人づくり(重点施策2-3)
重点施策3「未来を担う人づくり」でございます。
協働によるまちづくりの理念を普及するとともに、まちづくりを担う人づくりを進めるために、様々な講座や事業を実施します。
方向性3 資源を生かす
方向性3「資源を生かす」でございます。
ライフステージに応じた支援をする(重点施策3-1)
重点施策1「ライフステージに応じた支援をする」でございます。
待機児童解消に向けた取組強化や、利用者が増加している児童会の環境整備を図るなど、保育の充実と女性が活動しやすい環境づくりを推進するとともに、企業の情報発信力強化や、地元大学生等の就労希望者とのマッチングなど、市内企業の人材確保対策や、誰もが働きやすい職場環境づくりを支援します。
地域のまちづくり活動を支える環境をつくる(重点施策3-2)
重点施策2「地域のまちづくり活動を支える環境をつくる」でございます。
まちづくりの拠点となる市民センター等を整備・改修します。
また、地域の一体感を醸成することを目的として、まちづくり推進基金を創設し、地域振興に資する事業の財源として活用します。
地域資源の活用を図る(重点施策3-3)
重点施策3「地域資源の活用を図る」でございます。
農業では、地産地消の推進や生産量の増大を図るため、地産地消に意欲のある店舗を「地産地消推進宣言店」としてPRするとともに、ニーズの高い農産物の新規作付・生産拡大の可能性について調査を行います。
また、中山間地域等の農地を保全するため、耕作放棄地の再生や農業経営の効率化、担い手への集積を目的として行う農地改良を支援します。
林業では、新たに施行される森林経営管理法に基づき、林業の成長産業化と森林経営の適切な管理の両立を図るため、森林環境譲与税を活用し、担い手の育成、人工林の経営管理権取得のための調査や公共建築物への利用に向けた市産材の備蓄を行います。
さらに、地域活性化にも資する林道玖島川末線の整備についても引き続き進めます。
水産業では、豊かな海を次世代に引き継いでいくため、漁場整備を行い、漁場環境の保全と水産資源の増大に取り組みます。
観光ブランド力の向上を図る(重点施策3-4)
重点施策4「観光ブランド力の向上を図る」でございます。
新たな魅力を発信するため、宮島水族館の新展示施設の整備に向けて取り組みます。
また、はつかいちアルカディアの施設運営を見直し、「自然とのふれあい」「市民の保養・健康増進」を目的とした施設として活用するため、リニューアルに着手します。
さらに、本市にゆかりの深い武将茶人 上田宗箇広島入国400年記念イベントの開催や、中山間地域の周遊観光促進に向けた観光案内看板を整備するなど、観光情報の発信と誘客の強化に努めます。
方向性4 新たな可能性に挑む
方向性4「新たな可能性に挑む」でございます。
はつかいちの新たな魅力を創造する(重点施策4-1)
重点施策1「はつかいちの新たな魅力を創造する」でございます。
雇用機会の確保や新たなビジネスの創出を促進するため、賃貸等により、市内にオフィス等を移転・新築する事業者に対し、開設に必要な経費の一部を助成します。
また、グローバル化する社会の中で活躍する青少年の力を育むため、平成31年度から新たに北米都市、カナダ サーニッチへの派遣研修を実施します。
市民が主役!チャレンジを応援する(重点施策4-2)
重点施策2「市民が主役!チャレンジを応援する」でございます。
地域スポーツ活動の活性化等を図るため、宝くじの社会貢献広報事業を活用したプロ野球選手OBによる少年少女野球教室の開催や、佐伯総合スポーツ公園を活用した交流イベントを行います。
また、障がい者スポーツの振興を図るため、障がい者スポーツ指導員の育成を支援するほか、市民参加育成創造事業として、「ほほえみコンサート(小学校訪問コンサート)」を企画・開催することで市民の文化芸術の振興を図ります。
行政経営改革の推進
行政経営改革の取組でございます。
RPA(Robotic Process Automation)を導入し、データ入力などの定型的なパソコン操作を自動化することで、業務の効率化を図ります。
また、利用申請が必要な市の公共施設について、インターネットで空き状況の確認などができる公共施設予約システムを導入し、利用者の利便性の向上及び業務の効率化を図ります。
4 平成31年度の予算編成に関して
平成31年度の予算編成でございます。
以上、述べました方針と、戦略的な取組への重点配分を考慮しながら編成した結果、一般会計当初予算案の総額は、555億3千万円で、人口減少社会を見据えた地域活力の向上や、持続的なまちづくりにつながる予算となりました。
特別会計の当初予算案の総額は、12会計で、326億1249万6千円、企業会計の当初予算案の総額は、2会計で、38億43万4千円となっています。
おわりに
以上、平成31年度の市政運営に臨む私の基本方針について申し上げました。
本年は、市長に就任して12年、3期目の仕上げの年を迎えます。私は、市長就任以来、「つながり」と「市民本位のサービス提供」を大切に、今日に至るまで、多くの市民の皆様に支えられ、関係機関や団体のご協力をいただきながら、市政を前に進めることに全力で取り組んでまいりました。
時代は、平成から新しい元号へ、そして、2020年には、約半世紀ぶりの東京オリンピック・パラリンピックが、2025年には、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が開催されるなど、新しい時代の息吹が感じられます。
まちづくりは、あるべき将来像の実現に向けて、その歩みを進める実践そのものです。
今後も、第6次総合計画に掲げた将来像「挑戦!豊かさと活力あるまちはつかいち~夢と希望をもって世界へ~」の実現に向けて、子どもから高齢者まで、年齢、性別、障がいの有無にかかわらず、持てる力を十分に発揮できるまちをつくるため、人と人、地域と地域の「つながり」をエネルギーとして、まちに様々な「にぎわい」をつくり、市民の皆様とともに、住むことに誇りの持てるまちづくりを進めてまいります。
おわりに、市政の遂行に当たり、市議会議員各位並びに市民の皆様の格別なるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、施政方針とさせていただきます。