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議会広報「さくら」第74号 特集
信頼される市議会を目指してさらなる議会改革へ
議員報酬の特例に関する条例 長期欠席で報酬を減額
本市議会では、これまでも議会基本条例の制定など、議会の活性化や改革に取り組んできました。
6月定例会初日、議員が長期欠席した場合などに報酬の減額や一時差し止めを可能とする、「廿日市市議会議員の議員報酬等の特例に関する条例」を議員発議し、即決により全会一致で可決しました。
条例の内容や制定の経緯については次のとおりです。
条例制定の背景
令和元年の参議院議員選挙における公職選挙法違反事件のように、議員が逮捕・拘束され議員活動ができなくても報酬が支払われることについて、多くの国民から疑問の声があがっていました。
条例制定までの流れ
本市議会においても、議員が長期にわたり職責を果たせない場合を想定し、扱いについて検討するため、議会運営委員会内にプロジェクトチームを立ち上げ、先行事例なども参考にしながら協議を重ねてきました。
報酬の在り方を議論
議員が長期欠席をした場合、報酬を無支給にという案も出ました。しかし、地方自治法では、報酬は支給しなければならない規定となっていることや、支給義務者が市長ということもあり、議論の結果、現行法に則った対応として、報酬減額という結論となりました。
条例で定めた主な内容
・長期欠席の届け出を義務化
議員が長期欠席をすることとなった場合は、遅滞なく、その旨を届出書により届け出なければならないとし、当該議員自ら届け出ができない場合でも、親族又は、委任を受けた者が届け出ることを可能とする。
・報酬の一時差し止め要件
議員が刑事事件の被疑者又は被告人として、逮捕、勾留など身体を拘束される処分を受けた場合、報酬や期末手当を一時差し止める。
無罪判決が確定した場合は、翌支給日に全額支給されるが、有罪となった場合には支給されない。
・欠席期間に含まないもの
(1)公務上の災害によるもの
(2)出産
(3)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、第十八条第一項に規定する患者または無症状病原体保有者となった場合
(4)議長がやむを得ないと認める事由
・議員報酬等の減額
議員が療養、長期不在その他の理由により、90日を超えて市議会等を欠席した場合は、欠席期間に応じて議員報酬の月額を減額する。
基準日(6月1日及び12月1日)前6月以内の期間に議員報酬の減額適用を受ける月がある場合は、欠席期間に応じて議員報酬の減額の規定の割合により期末手当を減額する。
欠席期間 | 減額割合 |
---|---|
90日を超え180日以下であるとき。 | 100分の20 |
180日を超え365日以下であるとき。 | 100分の30 |
365日を超えるとき。 | 100分の50 |
条例の構成 第一条 趣旨 第二条 定義 第三条 長期欠席に係る届出 第四条 議員報酬の減額 第五条 期末手当の減額 第六条 適用除外 第七条 議員報酬の一時差止め 第八条 期末手当の一時差止め 第九条 議員報酬及び期末手当の支給 第十条 議員報酬及び期末手当の不支給 第十一条 改選後における期末手当に係る効力 第十二条 端数計算 附則 |
議員定数調査特別委員会 経過報告
昨年6月定例会において、「議員定数調査特別委員会」(定数10)が設置され、本年6月末までの一年間に10回の委員会、3回の協議会(研修会)を開催しました。
また、委員会を2部会に分け、具体的な調査を行ってきました。
部会A…広く市民の意見を確認
部会B…他団体の調査・分析
委員会の主な協議内容
・調査期間は2年間とし、本年9月定例会で中間報告、令和5年6月定例会で最終報告予定
・2部会の進捗管理と進め方
・令和4年度の調査項目
内容…アンケート調査分析・類似団体の調査分析・専門家のアドバイス・市民の意見交換開催等
予算総額 498万8千円
協議会(研修会)の内容
・令和3年11月8日
「人口減少社会における議会の在り方」について
関東学院大学准教授 牧瀬 稔氏
・令和3年11月18日
「人口縮小社会における議会の在り方~議員定数と議会の活性化」について
日本大学准教授 林 紀行(はやし のりゆき)氏
・令和4年5月20日
アドバイザーとの意見交換
日本大学 教授 林 紀行(はやし のりゆき)氏
部会A
・広く市民の意見を聴くため、委員が出向いて15団体と意見交換を実施。(本年6月末時点)
・市民アンケートの実施方法や調査項目を検討。前回の課題を踏まえ、幅広い意見を聴取できるようWebによる回答を可能とした。調査時期は本年9月頃の予定。
部会B
・類似団体の状況を重回帰分析【※1】することで、議員数を決定する最適な要因を導き出す。その際、本市の特徴をどのように反映するか協議検討。
委員会では、意見交換や専門家のアドバイスを受ける中、議員定数の検討では、さらなる議会改革の推進と、市民福祉の向上を目指すことの重要性を再確認しました。
今後も、市民団体との意見交換を続け、本年9月の中間報告を経て、あるべき議会の議員定数について、令和5年6月議会で提案する予定です。
子ども議会を市と共同開催
市長から提案のあった、中学生を対象とした「子ども議会」について、市、教育委員会と共催します。
市議会では、プレ学習会での「議会の役割」についての講師などのほか、本番での議長を担当します。
「未来を話そう!はつかいち子ども議会2022」
日時:令和4年8月20日(土曜日) 午前9時から12時まで
場所:市議会本会議場
詳細は、市ホームページでご確認ください。
本会議場のリモートカメラを更新
本会議のインターネット中継などで活用する議場リモートカメラが、経年劣化により不具合を生じています。社会情勢の変化による部品供給の遅れ等が懸念されるため、音声を除く映像システムの更新を、補正予算で対応します。
更新後の運用は、令和5年3月議会からとなる予定です。
補正額は約3270万円で全額が一般財源です。
用語説明
【※1】重回帰分析:複数データの関連性を明らかにする統計手法の一つ。