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議会広報「さくら」第73号 新年度予算
予算特別委員会 令和4年度の当初予算は?
令和4年度の一般会計、特別会計、企業会計の当初予算案は、3月定例議会の本会議初日に提案され、議長を除く全議員で構成する予算特別委員会に審査が付託されました。
5日間にわたる審査の結果、討論のあった一般会計、国民健康保険・後期高齢者医療特別会計を含む全会計の予算を原案どおり可決すべきものとしました。
本会議最終日、委員長報告後に採決を行い、予算特別委員会と同様に3会計に討論がありましたが、いずれも賛成多数により可決しました。
一般会計は引き続き500億円台に
一般会計予算は3年連続で前年度比で減となっていましたが、令和4年度は526億5千万円と前年度比で増となりました。予算規模は5年連続で500億円台となります。
歳入では、市税収入の反動増(6.7パーセント増)や地方交付税の増加(14.4パーセント増)などを見込んでおり、臨時財政対策債などの市債発行は減少(22.4パーセント減)します。
歳出では、コロナ対策関連事業や筏津地区公共施設再編工事に伴う増額のほか、新たな取り組みとして、デジタル化推進事業、地球温暖化対策推進事業のほか、観光関連事業として宮浜温泉の新たな源泉開発などによる支出を予定しています。
全会計の総額は初の900億円超に
前年度当初予算と比較し、特別会計では、市営墓地に指定管理者制度を導入する墓地管理事業が77.7パーセント増、償還金が減少する宮島水族館事業が29.9パーセント減、企業会計では、臨時費用が減少した国民宿舎事業が25.3パーセント減となります。
全会計の予算総額は、2.9パーセント増の917億円となり、初めて900億円を超える規模になりました。
コロナ対応のため切れ目ない予算編成
前年に引き続き、令和4年度当初予算と令和3年度3月補正の12億8千万円を一体的に連動させた、「16か月予算」の編成により、新型コロナウイルス感染症を含めた情勢の変化に対応した行財政運営が行われます。
また、3大プロジェクトである「新機能都市開発推進事業」「地域医療拠点等整備事業」「宮島口地区整備事業」も継続して進められます。
一般会計
526.5億円
前年度比 19.0億円増 3.7パーセント増
全会計総額
917.0億円
前年度比 25.6億円増 2.9パーセント増
会計別内訳
区分 | 令和4年度 | 前年度比 |
---|---|---|
一般会計 | 526.5億円 | 3.7パーセント増 |
特 別 会 計 | ||
国民健康保険 | 117.0億円 | 4.9パーセント増 |
介護保険 | 110.6億円 | 4.2パーセント増 |
後期高齢者医療 | 18.1億円 | 2.1パーセント増 |
漁港管理 | 0.2億円 | 7.6パーセント増 |
墓地管理事業 | 0.6億円 | 77.7パーセント増 |
港湾管理事業 | 1.0億円 | 4.4パーセント減 |
市営住宅事業 | 2.7億円 | 0.2パーセント増 |
宮島水族館事業 | 6.4億円 | 29.9パーセント減 |
小 計 | 256.9億円 | 3.1パーセント増 |
企 業 会 計 | ||
水道事業 | 47.3億円 | 2.6パーセント増 |
国民宿舎事業 | 0.4億円 | 25.3パーセント減 |
下水道事業 | 85.8億円 | 2.6パーセント減 |
小 計 | 133.5億円 | 0.9パーセント減 |
全会計予算総額 | 917.0億円 | 2.9パーセント増 |
令和4年度の事業紹介(一部)
ふるさと納税推進事業
【事業費】1億7490万4千円
【内容】インターネット等による市のふるさと寄付金に関する取り組みのPRや寄付金の受付、お礼の品として登録する地場産品などの拡充を行います。
筏津地区公共施設再編事業
【事業費】9億8621万1千円
【内容】令和5年3月のオープンを目指し、子育て、健康づくり、交流などの機能を備えた、筏津地区公共施設の再編整備工事を進めます。
デジタル化推進事業
【事業費】4169万5千円
【内容】過疎地域での暮らしやすさ、観光おもてなしの向上など、DXを活用した持続可能な未来社会(スマートシティ)の形成を進めます。
多世代サポートセンター管理運営事業
【事業費】2128万4千円
【内容】JA広島総合病院横に「多世代サポートセンター」を開設し、乳幼児から高齢者まで、幅広い支援を行います。
地球温暖化対策推進事業
【事業費】3071万4千円
【内容】2050年カーボンニュートラルの実現に向けた計画策定調査や河川等における小水力発電導入可能性の調査などを行います。
新型コロナウイルス感染症対策産業振興支援事業
【事業費】1億2千万円
【内容】業績回復やデジタル化、生産性向上、付加価値向上などに取り組む市内事業者を支援します。
観光施設管理事業
【事業費】1億4079万5千円
【内容】観光施設の各所維持管理や補修のほか、宮浜温泉の新たな源泉開発のための掘削工事(9800万円 総事業費2億4500万円)を行います。
宮島口地区整備事業
【事業費】6億256万4千円
【内容】宮島口地区を新たな観光交流拠点とし、賑わいを創出できるよう、交通、環境、景観等の総合的な整備を引き続き進めます。
公園整備事業
【事業費】1億3875万6千円
【内容】HIROHAI佐伯総合スポーツ公園野球場や各種公園の遊具、トイレなどの改修を行います。
予算委員会での主な質疑
質疑の一部を紹介します。
歳入
質問 市税収入が令和3年度予算より増加する理由は。
答弁 令和3年度予算では、コロナの影響を大きく見積もっていたが、さほどではなかった。令和4年度は法人・個人市民税についてはコロナによる減収の影響が続く一方、固定資産税の増収が見込める。
質問 国は臨時財政対策債を大幅に減額しているが本市事業への影響は。
答弁 令和4年度臨時財政対策債は当初予算比で11億円減少しているが、市税収入が約9億7千万円、普通交付税が約13億5千万円増加することから、一般財源総額は約4億円増額で事業執行に必要な一般財源は確保される。
歳出
DX(デジタル・トランスフォーメーション)活用で市役所をもっと便利に
質問 デジタル化推進事業は、策定した本市DX推進計画に沿って進められると思うが課題はあるか。
答弁 課題はさまざまあるが、つきつめれば人材育成である。DX推進会議の中で取り組みや今後の改善点など検討していく。
質問 基幹業務クラウドサービス更新業務委託料の内容及び、国のガバメントクラウド(自治体の標準システム)導入のスケジュールを問う。
答弁 広島県市町基幹業務クラウドサービスは、令和4年12月で10年が経過し、保守が限界を迎えていることから、まずは後継システムへ移行する。国の掲げる自治体標準システムへの移行は、対象17業務について令和6年度にシステム選定を行い、令和7年度末に標準システムへの移行を予定している。
質問 スマート市役所の内容は。
答弁 住民票、就学援助ほか、オンライン申請できる業務を段階的に増やしていきたい。委託先は公募型プロポーザルで選定するよう考えている。
その他の質問
質問 あいプラザ3階での相談まるごとサポートデスクの運営体制は。
答弁 課題を抱えた相談者に対し、内容や背景にある問題を明らかにするための面談を行い、各相談支援機関につなぐ。専任職員は配置せず、各フィールドマネージャーがローテーションで従事する。
質問 小水力発電可能性調査業務とは。
答弁 国が提供するREPOS(リーポス)(再生可能エネルギー情報提供システム)により、ポテンシャルの高い吉和・佐伯地域の太田川・小瀬川水系中心に15カ所程度に絞り込む。現地調査を行い、実現性が高いと判断できれば設計に移る。
質問 有害鳥獣被害対策業務委託料が倍増している理由は。
答弁 市街地に出没するサルを、群れ単位で捕獲するため民間事業者に委託する経費を新たに計上した。
質問 宮浜温泉街活性化基本構想策定業務の委託内容は。
答弁 管理組合が描く開湯100年ビジョンや地元関係者等の意見を踏まえ、官民一体で活性化を進める構想を策定する。
質問 住宅団地住まいづくり支援業務の委託内容は。
答弁 宮園団地を対象に勉強会やアンケート調査等を実施し、住まいに関するニーズを抽出する。若年子育て世帯の入居の選択肢となる取り組みも検討する。
質問 公債費では、令和3年度のように基金の繰り替え運用を行うのか。
答弁 収入の少ない10月、公共工事支払が集中する2月、出納整理期間の4、5月は資金不足が生じるため一時借り入れを行う。借り入れ金利と基金利息を比較し、有利な方法で対応していく。
反対討論
一般会計
任期の定めのない正職員を増やすべきである。筏津地区公共施設整備のDBO方式、図書館等を民営化することに反対。新たな事業用地開発が計画されているが、開発より減災や防災、市民の暮らしにすぐ生かせる施策を。
国民健康保険特別会計
国保税は一部軽減だが全体では増税になる。
後期高齢者医療特別会計
保険料引き上げがあるうえ、10月から一定以上の所得のある被保険者の医療費自己負担が2割と倍増する。
賛成討論
一般会計
コロナの影響で厳しい中、第6次総合計画後期計画に基づく事業の着実な実施を評価する。令和4年度は行財政改革の取り組みが目に見えるようになった。さらに具現化していくものと期待する。
国民健康保険・後期高齢者医療特別会計
課題はあるが、本市だけでは解決できないため、市長会を通じた提言を期待。今後、医療保険制度の見直しが行われるものと考える。