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議会広報「さくら」第85号 令和7年度当初予算
予算特別委員会 令和7年度の当初予算
7年度の一般会計、特別会計及び、企業会計の当初予算案は、3月定例会の本会議初日に提案され、議長を除く全議員で構成する予算特別委員会に審査が付託されました。
5日間における審査の結果、討論のあった一般会計、国民健康保険特別会計を含む全会計の予算を原案どおり可決すべきものとしました。
本会議最終日、委員会審査の結果報告後の採決では、一般会計及び、国民健康保険特別会計に討論がありましたが、いずれも賛成多数により原案どおり可決しました。
一般会計予算は600億円を超え過去最大に
歳入増の主な理由
国の所得税収増に伴う個人市民税や法人市民税に加え、宮島の来島者増加で宮島訪問税が1.3億円の増など、市税全体で5.3%の増を見込んでいます。
また、昨年に定額減税で大幅増となっていた地方特例交付金は75%減(約4.5億円)となりますが、地方交付税の5.9%増や、国・県支出金の22.3%増など、歳入総額では9.5%増(55億5千万円)となる見込みです。
歳出増の主な理由
民生費では、保育園整備事業や私立保育園管理運営事業などで13.5%増えるほか、土木費の宮島口整備事業や新機能都市開発推進事業の事業増加などにより、19.1%増加する見込み。また、小・中学校のリニューアルなど(23.5%増)にも取り組みます。
市債残高と基金残高
7年度は、借入額が44億円、償還額は63億円となり、市債残高は約19億円減の約643億円となる見込みです。また、財源調整的基金【※1】とまちづくり推進基金は、年度末で76億円となりますが、最終的には約105億円となる見込みです。
一般会計
637.8億円
前年度比 55.5億円増 9.5%増
全会計総額
1013.4億円
前年度比 72.8億円増 7.7%増
令和7年度 会計別歳出予算額
区分 | 予算額 | 対前年伸率 |
---|---|---|
一般会計 | 63,780百万円 | 9.5% |
特別会計 | ||
国民健康保険 | 12,268百万円 | 4.4% |
介護保険 | 11,364百万円 | 2.2% |
後期高齢者医療 | 2,427百万円 | 8.4% |
漁港管理 | 16百万円 | 5.0% |
墓地管理事業 | 45百万円 | 56.4% |
港湾管理事業 | 153百万円 | 6.2% |
市営住宅事業 | 355百万円 | 17.9% |
宮島水族館事業 | 639百万円 | 0.0% |
小計 | 27,268百万円 | 3.9% |
企業会計 | ||
国民宿舎事業 | 43百万円 | 0.8% |
下水道事業 | 10,251百万円 | 7.3% |
小計 | 10,294百万円 | 7.3% |
合計 | 101,342百万円 | 7.7% |
※金額は百万円未満を四捨五入しているため小計等の数値は一致しません。
予算委員会での主な質疑
質疑の一部を紹介します。
歳入
質問 財源調整的基金とまちづくり調整基金の決算見込み105億円の推計内容は。
答弁 6年度末の補正後の残高や、過去5年間における当初予算と決算の比率などの推計から算出している。
歳出
保育園管理運営事業
質問 待機児童の実態と、希望する園への入園率は。
答弁 4月時点では待機児童の発生はないが、年度途中では発生している。希望する園への入園は、6年度当初で第1、第2希望の園へ7割の方が入園できている。
新機能都市開発推進事業
質問 無電柱化など、当初の計画にはなかった事業の実施で負担が増加する。費用の積み増しは避けるべきでは。
答弁 事業方式が組合施行であり、必要であったが当初ではできなかった。法改正がされ、国の制度が活用できるようになったこのタイミングで進めていきたい。
学校教育振興一般事業
質問 スクールソーシャルワーカーの配置状況は。
答弁 6年度は市費で4名任用し、県費の配置がない6中学校区に配置している。
中学校を拠点とするが、要請等に応じて学区内の小学校にも計画的に訪問している。7年度も同様に配置し、市内全中学校区をカバーする予定である。
介護保険特別会計
質問 訪問介護報酬が引き下げられ、人材不足の問題もあり、必要なサービスが特に中山間地で提供できなくならないか。
答弁 介護人材確保は全国的にも大きな課題であるが、本市では経営状況の悪化等での廃止はなく、新規の事業所も開設されるなど、7年度のサービス提供には影響はないと考えている。
総括質疑から
質問 財源不足に伴い基金繰り入れが多く将来に不安が残る。適正な予算規模と基金についての考え方は。
答弁 一般会計の予算規模は、人件費・扶助費などの義務的経費や、物件費の増加などで年々増加している。今年度、持続可能なまちづくりに向け、財源確保と戦略的予算配分で過去最大の予算規模となった。今後、次期総合計画を着実に実施するため、次期中期財政運営方針策定の中で、適切な予算規模や基金残高についてしっかり考えたい。
質問 高齢者の貧困率は高い。今後、高齢者や女性の貧困者が増加すると言われており、現実にある貧困の救済と貧困を生まない施策が必要ではないか。
答弁 生活保護559世帯の約5割が高齢者世帯で、とりわけ女性の単身世帯が139世帯と多い。
生活支援センターの困りごと相談や自立支援等に取り組んでおり、子育て世代の女性が活躍できる環境整備に努めたい。
反対討論
一般会計
新機能都市開発は、経済の先行きが不透明な中で進められ、未来物流産業団地造成事業、(仮称)郡塚地区産業用地造成事業とともに環境への影響が大きい。予算規模が大きく、当初予定になかった市の負担も生じている。
議員など特別職の報酬等引き上げが予算化されている。
国民健康保険特別会計
国保税の引き上げは市民にとって重い負担であり反対する。
賛成討論
一般会計
子どもが主役のまち宣言による施策だけでなく、高齢者には、廿らつプラチナポイントの拡充もある。市民サービスの向上だけでなく、職員の負担軽減になる予算も確認できた。新機能都市開発は着想から50年かけて実現し、事業効果が期待できる。
議員報酬は、若い世代が志を持って活躍できるものにすべきである。
国民健康保険特別会計
基金繰入で引き上げ額を抑えており低所得者対策もある。
令和7年度 事業紹介(一部抜粋)
子育てしやすいまちづくり 総額6億6814万8千円
子育て世代の経済的負担軽減
・0~2歳児の保育料の負担軽減 1462万円(歳入減による影響額)
これまで小学生以上の子を保育料の算定にカウントしていなかったものを算定の基準とし、多子世帯の負担軽減を図ります。
・奨学金貸付制度の拡充 5898万円
貸付月額の増額や他制度との併用を可とするほか、返済期間の延長を図るなど、安心して就学できるよう、制度を見直します。
都市構造の再構築、コンパクトシティの形成
新機能都市開発推進事業
・電線共同溝整備工事 3億円 [債務負担R8]8億8千万円
・緑地整備工事 6千万円
未来物流産業団地造成事業
・調整池整備工事委託料 1億7050万円
・市道二重原線整備工事委託料 1億7600万円
(仮称)郡塚地区産業用地造成事業
・開発詳細設計業務委託料 3200万円
・水質調査等業務委託料 800万円
シビックコア地区整備事業
・面的整備検討業務等委託料 8277万1千円
ゼロカーボンシティの推進
・家庭系ごみ有料指定袋作成等業務委託料 5402万6千円
焼却によるCO2排出量削減のため、バイオマスプラスチック10%配合の家庭系燃やせるごみ袋を製造します。
・電力会社設立出資金 1500万円
・公共施設太陽光発電設備導入補助金 3320万円
持続可能な観光地域づくり 総額2億4123万2千円
中山間地域への誘客強化
・教育旅行等バス代補助金 360万円
・中山間地域体験観光等推進事業委託料 202万4千円
DMO【※2】の設立準備
・はつかいち版DMO設立に要する準備経費 1341万1千円
スポーツを核としたまちづくり
・HIROHAI佐伯総合スポーツ公園整備事業 総額 8億1792万円
・女子野球シティプロモーション事業 3000万円
持続可能な中山間地域への対応
・(仮称)中山間地域振興ビジョン策定業務委託料 800万円
佐伯高校の魅力化支援
・下宿費補助金など 2559万円
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
廿らつポイントをアプリ化
・介護予防等ポイント事業構築・運用業務委託料 2723万6千円
書かない・待たない市役所
・スマート窓口用タブレット端末関連 163万7千円
戦後80年非核平和事業
総額 566万円
戦後80年を迎えるにあたり、平和の大切さを未来につなげるため、平和を祈念するさまざまな事業を通じて、市民の平和意識の醸成を図ります。
・被爆アオギリ二世移植 ほか
用語説明
【※1】財源調整的基金:財政調整基金、公共施設等整備基金、減債基金の総称。
【※2】DMO(Destination Management Organization):観光地域づくり法人のこと。地域の多様な関係者と協同し、明確なコンセプトに基づく観光地づくりを行う司令塔となる法人。