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選挙運動
選挙運動ができる期間
選挙の公示日(告示日)の立候補届出受理後から、投票日前日までに限り行うことができます(無投票となった場合は公示日(告示日)のみ行うことができます)。
それ以外の期間や、立候補届出前の選挙運動は、事前運動として公職選挙法で禁止されています。
ただし、次に掲げるものは、投票日の当日でも行うことができます。
- 投票所を設けた場所の入口から300メートル以外の区域に選挙事務所を設置すること
- その選挙事務所を表示するために、その場所で、ポスター、立札、看板の類を通じて3以内およびちょうちん1個を掲示すること
- 選挙運動の期間中適法に掲示された選挙運動用ポスターをそのまま掲示しておくこと
- 選挙運動の期間中適法にウェブサイトなどに掲載された選挙運動のために使用する文書図画をそのままにしておくこと
事前運動の禁止
事前運動とは、立候補の届出前に選挙運動を行うことです。
選挙運動の開始の時期を特定することにより、各候補者の選挙運動を可能な限り同時にスタートさせて無用の競争を避けるとともに、選挙運動費用の増加を抑制するなどの理由により事前運動を禁止しています。
ある行為が選挙運動と認められるかどうかは、その行為が行われる時期、場所、方法、対象につき、総合的に実態を把握して判断されます。
事前運動に当たらない例として、下記のようなものがあげられます。
1 立候補準備行為
特定の候補者の当選を得るために選挙人に働きかける行為ではなく、候補者およびその支持者のグループ内での行為または選挙運動着手前の手続的な行為とみるべきであり、選挙運動を開始するのに当然必要な行為と考えられています。
立候補準備行為の代表的な例として、下記のようなものがあげられます。
(1)政党の公認を求める行為
衆議院選挙や参議院比例代表選挙で政党の届出候補者や名簿登載者とされることを求める行為も含まれます。
(2)立候補の瀬踏行為
立候補の瀬踏行為とは、立候補の意思を決定する資料として選挙人の意向を探る行為のことです。
少数の特定人に対して行う立候補可否の問合せなどにとどまる場合は問題ありませんが、この行為を広範囲に行うなど、方法によっては投票依頼の意思を表すものとして事前運動と認められるおそれがあります。
(3)候補者選考会、推薦会の開催
政党その他の政治団体、組合、あるいは単なる有権者の集まりなどで、推薦すべき候補者を決定することです。
ただし、あらかじめ特定の人を決めておいて、その会合でこれを了承させ、または形式的に決定するような場合には事前運動となるおそれがあります。また、選考の結果を外部に発表することも、選挙運動と認められる場合が多くあります。
(4)供託物を供託する行為
2 選挙運動の準備行為
選挙運動の準備行為の代表的な例として、下記のようなものがあげられます。
(1)選挙事務所、自動車、拡声機の借入れの内交渉
(2)演説会場借入れの内交渉
(1)、(2)のような行為は、それらを貸し出す可能性のない選挙人に対してまで広く交渉するなどの場合には、選挙運動と認められる場合が多くあります。
(3)立札・看板・ちょうちんの類を作成しておく行為
(4)選挙運動用ポスター・ビラの原図を作りまたは印刷しておく行為
(5)選挙運動者の依頼または労働者の雇入れの内交渉
(6)選挙演説のための出演依頼の内交渉
(5)、(6)のような他人に選挙運動を依頼する行為は、およそ無関係な選挙人に対してまで依頼するような場合には、選挙運動と認められる場合が多くあります。
選挙運動ができない人
選挙運動は原則誰でも行うことができますが、以下のような人は選挙運動を行うことが禁止されています。
1 関係区域内において選挙運動を禁止されている人
- 選挙事務関係者(投票管理者・開票管理者・選挙長など)
※投票立会人、開票立会人、選挙立会人は選挙運動は禁止されません - 一般職の地方公務員
2 選挙運動を全面的に禁止されている人
- 特定公務員(選挙管理委員会の委員および職員・裁判官・警察官など)
- 満18歳未満の者
- 選挙または政治資金にかかる犯罪を犯し、選挙権および被選挙権を停止されている者
- 教育公務員(公立学校の長・教員など)
3 地位利用による選挙運動を禁止されている人
- 国または地方公共団体の公務員(一般職または特別職または常勤または非常勤を問わない)
- 特定独立行政執行法人または特定地方独立行政法人の役員または職員
- 沖縄振興開発金融公庫の役員または職員
- 教育者(学校教育法上規定する学校の長・教員など)
選挙運動の方法
はがきやポスターなどの文書図画によるものと、演説などの言論によるものがあります。
1 文書図画による選挙運動
通常はがきのように選挙人に頒布(配布)するもの、ポスターのように掲示するものおよび新聞紙上に出す広告の3種類に大きく分けられます。
(1)頒布による文書図画
ア 選挙運動用通常はがき
選挙運動用通常はがきの記載内容は制限はありません。したがって、候補者の政見の表明、投票の依頼、写真を掲載することもできます。また、個人演説会の開催通知のために用いることや、第三者に依頼して推薦状の形式で出しても問題ありません。
郵便局による「選挙用」の表示が必要です。
選挙の区分 | 枚数 |
---|---|
市長選挙 | 8,000枚 |
市議会議員選挙 | 2,000枚 |
イ 選挙運動用ビラ
頒布できるビラは、当該選挙を管理する選挙管理委員会に届け出た2種類以内のもので、大きさはA4サイズ(長さ29.7センチメートル、幅21センチメートル)を超えてはならず、ビラの表面には、頒布責任者および住所を記載しなければなりません。
また、ビラには当該選挙を管理する選挙管理委員会が交付する証紙を貼らなければ頒布することはできません。
選挙の区分 | 枚数 |
---|---|
市長選挙 | 16,000枚 |
市議会議員選挙 | 4,000枚 |
(2)掲示による文書図画
ア 選挙事務所を表示するための文書図画(ポスター・立札・ちょうちん・看板の類)
(ア) ポスター、立札および看板の類は、事務所ごとに通じて3個まで、縦(横)350センチメートル、横(縦)100センチメートル以内です。
(イ) ちょうちんは1個まで、高さ85センチメートル、直径45センチメートル以内です。
イ 選挙運動用自動車に使用する文書図画(ポスター・立札・ちょうちん・看板)
(ア) ポスター、立札および看板の類は、数量制限は無し、縦(横)273センチメートル、横(縦)73センチメートル以内です。
(イ) ちょうちんは1個まで、高さ85センチメートル、直径45センチメートル以内です。
ウ 候補者が使用するもの(たすき・胸章・腕章)
候補者が着用して使用する限り、数、規格、記載内容の規制は特にありません。
エ 演説会場において、演説会開催中使用する文書図画(ポスター・立札・ちょうちん・看板の類)
(ア) ポスター、立札および看板の類は、会場内においては数量制限は無し、会場外においては通じて2枚まで、縦(横)273センチメートル、横(縦)73センチメートル以内です。
(イ) ちょうちんは会場内か会場外のいずれか1個まで、高さ85センチメートル、直径45センチメートル以内です。
なお、記載内容は、個人演説会を告知するものでなければならず、表面には掲示責任者の氏名および住所を記載しなければなりません。
オ 選挙運動用ポスター
選挙管理委員会が設置する公営ポスター掲示場1箇所につき1枚までです。
タブロイド型長さ42センチメートル、幅30センチメートル以内です。
文書図画の撤去義務
選挙事務所を廃止したとき、自動車または船舶を選挙運動のために使用することをやめたとき、または個人演説会が終了したときは、掲示者はこれらに掲示したポスター、立札、ちょうちんおよび看板の類を、直ちに撤去しなければならないよう義務づけられています。
また、選挙運動用ポスターについても、投票後は速やかに撤去しなければなりません。
(3)新聞広告
新聞を利用して行う選挙運動は、この新聞広告だけに限られています。
市長選挙および市議会議員選挙の場合、候補者は選挙運動の期間中、有料で2回に限り掲載することができます。
広告の規定は下記のとおりです。
ア 大きさ 横9.6センチメートル、縦2段組以内
イ 掲載場所 記事下
ウ 色刷りは不可
2 言論による選挙運動
候補者の考えや政策を言葉によって行うことを言い、個人演説会、街頭演説および連呼行為などがあります。
(1)個人演説会
候補者自身が、候補者の政見の発表や候補者に対する投票依頼などの選挙運動のために開催するものです。また、開催回数の制限はありません。
ア 公営施設(学校・公民館など)を使用する場合
(ア) 1回の開催につき5時間まで
(イ) 開催する日の2日前までに、選挙管理委員会に申し出なければなりません。
イ 公営施設以外(個人の住宅・神社など)を使用する場合
(ア) 使用時間の制限は無し
(イ) 使用しようとする施設の管理者などと交渉して承諾を得るとともに、開催可能かを確認しなければなりません。
ただし、選挙管理委員会に申し出る必要はありません。
(2)街頭演説
街頭や公園などで、不特定多数の人に対し選挙運動のために演説をすること。屋内から街頭に向かって行う演説(選挙事務所から道路を通る人々に対して行う演説など)もこれに含まれます。
街頭演説をするときは、必ずその場所にとどまり、立候補届出の際に選挙管理委員会から交付された標旗(1本)を掲げなければなりません。また、選挙運動従事者は、腕章の着用が必要です。
街頭演説が禁止されている場所
- 国または地方公共団体が所有しまたは管理している建物・施設
- 電車、駅の構内、乗合自動車、船舶、停車場、その他鉄道敷地内
- 病院、診療所、その他の療養施設
街頭演説ができる時間
午前8時から午後8時までの間
(3)連呼行為
短時間に候補者氏名や政党名など同一の短い文言を繰り返し呼称すること。
連呼行為は、個人演説会場、街頭演説または幕間演説の場所ですることができるほか、午前8時から午後8時までの間に、選挙運動用自動車または船舶の上で行うことができます。
ただし、学校や病院などの周辺では静穏の保持に努めなければならないほか、国や地方公共団体が所有・管理している建物や施設、電車や駅の構内での連呼行為は禁止されています。
3 インターネットなどによる選挙運動
候補者・政党などは、ウェブサイトなどおよび電子メールを利用した選挙運動ができます。
詳細は下記リンクよりご覧ください。
- 総務省ホームページ<外部リンク>
4 自由に行うことができる言論による選挙運動
次の行為は、選挙運動期間中であれば、18歳未満の者や公民権を停止されている人を除き、誰でも行うことができます。
(1)幕間演説
集会、映画、演劇の幕間、会社や工場の休憩時間などを利用して行うなど、屋内または施設の構内でたまたまそこに集まっている人々に対して演説をすること。
ただし、公共施設で行うものは禁止されています。
(2)個々面接
路上や電車の中でたまたま出会った知人や友人などに、その機会を利用して投票の依頼をすること。
(3)電話による選挙運動
有権者に電話で投票の依頼をすること。
禁止されている主な選挙運動
公職選挙法により以下の行為は禁止されています。
1 戸別訪問
投票依頼などの選挙運動の目的で、有権者宅や会社、工場などを戸別で訪問することは禁止されています。
戸別訪問の類似行為として、直接的に投票依頼を目的としなくとも、戸別に演説会の開催を知らせて歩いたり、特定の候補者の氏名などを言い歩いたりすることも禁止されています。
2 署名運動
選挙に関して、特定の候補者に対して投票を依頼したり、または投票しないようにすることを目的として、有権者に対して署名運動をすることは禁止されています。
3 人気投票の公表
どの候補者が選挙で当選するか、またはどの政党から何人当選するかを予想する人気投票を行い、その経過や結果を公表することは禁止されています。
4 飲食物の提供
選挙運動に関して、どんな名目であっても飲食物を提供することは禁止されています。
ただし、湯茶や湯茶に伴い通常用いられる程度の菓子(せんべいやまんじゅうなど、お茶うけ程度のもの)は、提供することができます。
5 気勢を張る行為
選挙運動のために、選挙人の注目を集めようと自動車や自転車を連ねたり、隊列を組んで往来したり、サイレンを吹き鳴らすなどの気勢を張ることは禁止されています。
6 休憩所の設置
休憩所その他これに類似する設備は、選挙運動のために設置することは禁止されています。
ここでいう「休憩所」とは、休憩を主たる目的として設けられた一切の場所的設備のことをいい、「その他これに類似する設備」というのは、例えば湯呑み所、連絡所のようなものが考えられます。
ただし、演説会場における弁士の控室、選挙事務所の一部に設けられる運動員の休憩の場所などはここでいう休憩所には含まれません。
7 あいさつを目的とする有料広告
候補者や後援団体(特定の候補者を推薦し支持する団体)は、選挙区内にある者に対し、時候、慶弔や激励などのあいさつを目的とする広告を有料で新聞、雑誌に掲載したり、テレビやラジオで放送したりしてはいけません。
8 選挙期日後のあいさつ行為
選挙後に、当選または落選に関し選挙人にあいさつする目的で、選挙人に対して次の行為をすることは禁止されています。
選挙後とは、投票当日の投票所が閉ざされた時刻以降のすべてを言います。
また、当選または落選に関してのあいさつと認められる限り、期限はありません。
- 選挙人に対して、戸別訪問をすること
- 感謝の言葉などを記載した文書図画を掲示すること
- 新聞、雑誌にあいさつ広告を出すこと
- テレビやラジオを利用してあいさつ広告を放送すること
- 当選祝賀会その他の集会を開催すること
ただし、次のあいさつ行為は行うことができます。
- 自筆による信書
- 有権者からもらった当選の祝辞、落選の見舞いなどに対する返信(自筆でも印刷でも可能です)
- インターネットなどを利用する方法によるあいさつ行為
9 買収
特定の候補者の選挙運動の目的で、有権者などに対し金銭や物品を与えたり、供応接待する行為は禁止されています。
供応接待とは、酒食の供与、観劇鑑賞、温泉への招待などで相手方に慰安快楽を与えることです。