アルゼンチンアリの概要
アルゼンチンアリの特徴
アルゼンチンアリは、働きアリの体長が、約2.5ミリメートルの比較的小さなアリです。
体形は、在来のアリに比べるとスマートで細長く、長い触角を持っています。
アルゼンチンアリの行列を遠目に見ると黒色に見えることがありますが、近づいてよく見ると、実際の体色は茶褐色です。
アルゼンチンアリは、動きが大変すばやく、ちょこまかと動き回るのが特徴的です。
アルゼンチンアリは、在来のアリの2~4倍の速さで歩くと言われています。
また、えさを採りに向かうときに、多数の働きアリが行列を作るのも特徴的です。
アルゼンチンアリとよく似た種類のアリとして、「ルリアリ」、「アミメアリ」、「トビイロシワアリ」、「オオズアリ」などがありますが、一般の人が一目見ただけでは、区別するのは難しいようです。
しかし、それぞれアルゼンチンアリとの違いがありますので、注意してよく観察すれば、ある程度は区別する事ができます。
それぞれのアリを見分けるポイントを紹介します。
ルリアリ | 分類的にはアルゼンチンアリに近いため、体形が酷似しているが、アルゼンチンアリと比べると、体色が黒く、つやがあり、触角が短い。 |
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アミメアリ | 非常に数が多く、石の下などによく似た形の巣を作るので、アルゼンチンアリと間違いやすいが、アルゼンチンアリと比べると、腹部が丸く、体形がずんぐりしており、触角が短い。 |
トビイロシワアリ | アルゼンチンアリと比べると、体色が黒く、触覚が短い。トビイロシワアリの頭部と腹部の大きさを比べると、やや頭のほうが大きい。アルゼンチンアリは、全体がスマート。 |
オオズアリ | アルゼンチンアリに非常によく似ており、肉眼では見分けがつきにくい。アルゼンチンアリと比べると、触角が短い。オオズアリの巣や行列の中には、数匹ずつ頭の大きなアリが混じる。 |
環境省発行パンフレット アルゼンチンアリの見分け方(PDFファイル 38KB)にも、それぞれのアリを見分けるポイントが紹介されているので参考にしてください。
アリの種類 | ||||
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※写真は働きアリです
※撮影:今井弘民、久保田政雄(アリ類画像データベース)
アルゼンチンアリの生態
アルゼンチンアリは、大変食欲の旺盛な雑食性のアリで、何でも食べます。
中でも、砂糖や花の蜜などの甘味を好んで食べます。
その他、果物、柑橘類、トウモロコシなどの芽、花、実を食べたり、種子や花蜜を巣へ持ち帰ります。
アルゼンチンアリは、地中にも巣を作りますが、非常に営巣性(巣を作る性質)が高いため、いろいろな場所へ巣を作ります。
特に、物の隙間や人手が加わった場所を好み、石や木・枯葉の下、コンクリート構造物のひび割れの中、家壁の隙間、カーペットの下、車のトランクの中など、どんな場所へでも巣を作ります。
一般的にアリと言えば、地中深くに巣を作るものと考えがちですが、このアルゼンチンアリは、地中深くに巣穴を掘るということはないようです。
【女王アリと働きアリ】
撮影:杉山隆史(フマキラー株式会社)
アルゼンチンアリは、大多数の働きアリと複数の女王アリからなる大規模な巣を形成します。
他の多くのアリとは異なり、アルゼンチンアリの一つの巣の中には、多数の女王アリが存在し、多いときには、一つの巣の中に数百匹の女王アリが存在することもあります。
アルゼンチンアリの働きアリは、気温摂氏5度~35度の範囲内の時に活動します。
しかし、冬季など寒い時期は、活動性が著しく低下します。
働きアリが、卵から成虫にかえるまでの期間は約2カ月で、その寿命は、10~12カ月です。
アルゼンチンアリの女王アリは、産卵能力が非常に高く、条件が良ければ1日に約60個の卵を産むことができます。
ただ、気温が摂氏20度以下になると、産卵をしなくなりますので、年がら年中、繁殖しているわけではないようです。
特に、活発に繁殖するのは9月~10月で、この時期になると、巣の内外のアリの個体数が非常に多くなります。
アルゼンチンアリは、競争力・攻撃性が非常に高く、侵入した各地域で、その地域の在来のアリを次々に駆逐して置き換わるため、在来の生物相(いくつかの種類によって組み立てられる特定の地域に生息・生育する生物全体のありさま)に重大な悪影響を与えるとして、専門家の間では問題視されています。
【ヤマトシロアリとアルゼンチンアリ】
撮影:アレックス・ワイルド(myrmecos.net)