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大杓子
2023年12月19日更新
宮島の土産物店で、ひときわ目を引く大きな杓子があります。
中には長さが2mを越えるものも。
もちろん実用品ではなく、勝利や商売繁盛、家内安全などを願う縁起物です。
宮島の杓子が生まれたのは200年以上も前の寛政の頃ですが、広く世間に知られるようになったのは日清戦争の時でした。
全国から召集された兵隊が広島の宇品港から出征する際に「敵を召し取る」とばかりに杓子に自分の名を書いて嚴島神社へ奉納し、勝利の記念に故郷への土産として持ち帰ったからです。
また「幸せを召し取る」と縁起がいい杓子として人気。
どんなに大きくなっても、杓子の作り方は変わりません。
専用のカンナで1本1本、すべての面がなだらかな曲線になるよう削られます。
大きな手のひらのような優しい形の杓子には、物作りへの情熱が詰まっているようです。