廿日市市の小中一貫教育の推進について
更新日:2011年6月23日
はじめに
現在、社会環境の急激な変化等により、豊かな人間性を育む義務教育の時期に、子どもの学習意欲の低下や学校生活への不適応など、さまざまな課題が生じています。
このような状況において、小・中学校の教職員が連携し、9年間を見通して児童生徒を育てるという視点を持ち、学習内容や指導方法の見直しを図っていくことが、一層求められています。
平成17年10月の文部科学省の中央教育審議会答申においても、「義務教育を中心とする学校種間の連携・接続を改善するための仕組みについて、十分検討する必要がある。」という趣旨の提言がなされています。
廿日市市においては、平成16年度から広島県の不登校対策実践校に指定された小・中学校で、学校間の連携を強固に図る取組みを進めた結果、不登校児童生徒数が減少するという成果が出ています。
このほか、学力の向上や人間関係力の育成等においても、小中一貫教育による教育効果が期待できると考えます。
そこで、
廿日市市教育委員会では、全中学校区で、小・中学校間の円滑な接続を図り、小・中学校の一貫した指導体制を確立する小中一貫教育を推進していくこととしています。
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1 これまでの経緯
<平成16年度〜>
広島県不登校対策実践校に指定された学校を中心に、小・中学校間の連携を図る取組みが行われて、中学校の不登校が減少する成果が得られました。
<平成17年10月>
中央教育審議会答申において、「義務教育を中心とする学校種間の連携・接続を改善するための仕組みについて、十分検討する必要がある。」という趣旨の提言がされました。
<平成19年2月>
「広島県小中一貫教育ネットワーク会議in呉」に参加しました。
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広島県小中一貫教育ネットワーク会議 |
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小中一貫教育の研究と具体化を通して義務教育の質的向上を目的として設立された会議で、県内8市町が会員となっています。 |
<平成19年6月>
学校教育法の改正により、各学校段階の目的・目標規定が改められ、新たに義務教育9年間での目標が定められました。
<平成19年8月>
「広島県小中一貫教育ネットワーク会議in府中」に参加しました。
<平成20年4月>
宮島小・中学校が施設一体型の小中一貫教育推進校としてスタートしました。
<平成20年11月>
「広島県小中一貫教育ネットワーク会議in北広島」に参加しました。
<平成20年12月>
不登校対策の他、学力の向上や人間関係形成能力の育成等において、小中一貫教育による教育効果が期待できるため、全中学校区で小・中学校間の円滑な接続を図り、9年間を見通した効果的な指導体制を確立する小中一貫教育(連携型・一体型)を推進していくこととする「廿日市市における小中一貫教育推進の方針」 (661KB)について定めました。
<平成21年3月>
廿日市市のまちづくりの指針である第5次廿日市市総合計画を平成20年12月議会の議決を経て策定しました。
この中に小中一貫教育の推進を掲げています。
<平成21年4月>
吉和小・中学校が施設一体型の小中一貫教育推進校としてスタートしました。
<平成21年11月>
「広島県小中一貫教育ネットワーク会議in廿日市」を開催しました。
<平成22年4月>
廿日市市教育振興計画を策定しました。
この中に大野西小学校・大野中学校の施設一体型の小中一貫教育推進校の整備を掲げています。
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2 小中一貫教育のメリット、デメリット
<メリット>
- 小学校から中学校への接続がスムーズに行うことができ、中1ギャップ、不登校の減少につながる。
- 小学校時の学習で定着しきれなかった内容を中学校の課程において補うことが容易になる。
- 異年齢とのコミュニケーションの機会が増える。
- 小学生の中学生へのあこがれや中学生の小さい子への思いやりが育まれる。
- 小学校の時から子どもを見続けている先生が中学校にもいるので安心である。など
<デメリット>
- 小学校と中学校の節目がなくなり、新たな気持ちの切り替えや進学する充実感がなくなる可能性がある。
- 小学生が中学生をこわがってしまうのではないかという心配がある。
- 小学校と中学校の組織文化、習慣の違いが大きく、その調整に時間がかかる。など
メリット、デメリットが表裏の関係にあるものについては、メリットを伸ばすことでデメリットへの対応が可能と考えています。
また、小中一貫教育推進校といっても基本的には小学校と中学校なので、それぞれ入学式、卒業式があります。
節目がなくなるという心配を含め、様々な教育諸問題に対し、小学校と中学校が連携・協力して問題解決をしていくのが、小中一貫教育でもあります。
上記のデメリットについては、学校運営や生徒指導を行う中で対応できるものと考えています。
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3 小中一貫教育の効果 こんなことが期待できます
児童生徒の能力や個性の伸長
- 9年間の系統的・継続的な一貫した教育が可能となり、小学校と中学校の授業内容の連続性を図ることにより、学力向上が期待できます。
- 小・中学校間の引き継ぎがスムーズになり、一人一人に合ったきめ細やかで系統的・継続的な指導により、一人一人の能力や個性をより伸ばすことが期待できます。
コミュニケーションの機会の増大
- 小学生が中学校へ入学する際、不必要な不安が減少し、スムーズな接続が可能となることから、中1ギャップや不登校の解消や減少が期待できます。
- 小学生が、中学生の姿を見て、自分自身の将来の具体的なめざす姿を想い描くことができます。
- 中学生が、自分の役割や立場を自覚し、自尊感情を高めることにより自分の行動に責任を持つようになります。
教職員の意識改革
- 小・中学校の教職員同士が互いに交流し、学び合うことで、義務教育9年間で児童生徒を育てるという意識改革を図ることができます。
- 小学校のきめ細やかな授業と、中学校の教科の専門性の高い授業が融合し、互いの授業の質が高くなることが期待されます。
- 学習指導や生徒指導において、小学校と中学校の教職員が連携することにより、小学校6年間、中学校3年間で途切れがちな教育をつないだ系統的な指導が可能になります。
地域との連携推進
- 小・中学校が連携・協力して、これまで以上に地域とのかかわりや連携を深め、地域から信頼される学校教育を推進することができます。
- 地域との信頼関係のもと、地域の協力や教育力を効果的に生かした学校づくりを進めることができます。
- その結果、地域に愛着と誇りをもつ児童生徒を育成することができます。
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4 取組み内容
本市では、小中一貫教育を進める形態として、「連携型」「一体型」の2つを設定し、中学校区を単位として、「学びをつなげる」「生活をつなげる」「ふれあいでつなげる」「地域でつなげる」を方針として、小・中学校のつながりを意識した教育活動を次のとおり展開しています。
<学びをつなげる>
学習意欲や学力の向上を図るため、小・中学校の教職員が、互いの授業を参観したり、合同で研究協議を行うとともに、小・中学校で連続性を持たせた授業づくりや、小学校での中学校の教員による教科の専門性を生かした指導を実施することなどの取組みを進めています。
<生活をつなげる>
生徒指導上の諸問題の解決を図るため、小・中学校の生徒指導主事を中心とした連携・情報交換を行うとともに、小学生の中学校生活の体験(体験入学)や小学校高学年の希望者が中学校の部活動に参加することなどをとおして、中学校入学時の不適応、いわゆる中1ギャップの解消などの取組みを進めています。
<ふれあいでつなげる>
豊かな人間性や社会性を育成するため、他校(種)の学校行事への参加、小・中学校の合同行事や合同体験活動(遠足・運動会・文化祭など)の実施、小中合同による研修会や公開研究会の開催などを行っています。
<地域でつなげる>
「開かれた学校づくり」を推進するため、地域の特色を生かした教育内容の創造、地域人材を活用した学習の実施、地域と連携したボランティア体験活動やあいさつ運動の実施などに取り組んでいます。
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5 これまでの取組みの成果
平成20年度からの取組みなので、本当の成果は、これからだと思いますが、徐々に成果は出てきています。
現時点では、次のように整理しています。(◎印は、一体型における成果)
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小・中学校の教職員が、児童生徒を9年間の見通しをもって指導することの必要性を認識するようになってきています。 |
| ○ |
小・中学校の教員が、学力・学習状況調査結果を共有して、共に学力の定着・向上に取り組む意識が高まってきています。 |
| ○ |
生活のきまりや授業の受け方など、小・中学校の教職員が協議して、9年間の発達段階を踏まえた目標設定をすることにより、指導の連続性が図られてきています。 |
| ○ |
小学校から中学校へ入学する際の、不必要な不安が減少して、スムーズな接続が可能となってきています。 |
| ○ |
小・中学校の教職員が合同で研修会を行うことが定着するなど、小・中学校の教職員同士の信頼関係が高まってきています。 |
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| ◎ |
小1から中3までの縦割り班による活動を行うことによって、上級生に下級生をいたわる心がはぐくまれ、自分に自信をもつことができてきています。下級生は将来のモデルを目にすることで活動への意欲が高まっています。 |
| ◎ |
運動会や文化祭を小・中学校合同で実施したり、参観日を同一日にしたりしたことで、保護者や地域の方々に好評を得ています。 |
| ◎ |
教職員の兼職発令を行い、専門性を生かした指導をする体制が整ってきており、児童生徒の学力を高めることができてきています。
| ※ |
兼職発令 |
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例えば、中学校の国語の教員が、小学校の国語の授業を担当できるよう、小学校と中学校両方の教員として教育委員会が発令すること |
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| ◎ |
宮島小・中学校では、小中9年間のキャリア教育学習プログラムを作成し、これに基づく体験的な学習を行い、児童生徒の学習意欲を高めてきています。
| ※ |
キャリア教育 |
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児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育 |
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(参考)
【児童生徒からの声】
- 中学校の授業が楽しみだ。
- 中学生が優しく教えてくれるので部活動が楽しみだ。
小3〜中3のコース別学習(総合的な学習の時間)から
- 小3と勉強するのは学年が離れているので不安だったが元気をもらった。
- 小学生と一緒にやって楽しかった。
- 中学生の作品を見て、自分も作りたくなった。
小学生が中学生の英語暗唱大会の発表を聞いて
- 中学生になったらあんなふうに話せるようになりたい。
【学校の先生方からの声】
- 同じ教育目標のもとで小・中学校の教職員が教育活動をできるようになって協力関係が強まった。
- 一つの職員室で執務することで、小・中学校の教職員が互いの文化の違いを知ることができ、協力関係や信頼関係を深めている。
- 互いの指導方法を知ることによって、それぞれの学習指導に生かせている。
- 中学生が小学生に優しい言葉をかけたり、一緒に手をつないで登校したりする姿が見られるようになった。
- 中学生が小学生に遊びや勉強を教えるようになった。
【地域や保護者からの声】
- 小学生・中学生が一緒に活動する姿が見られることから、これまで以上に学校行事が楽しみである。
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